26年3月期3Qは過去最高益を更新―ソフトバンク
2026年2月10日 15時42分更新

ソフトバンク株式会社は2月9日、2026年3月期 第3四半期決算を発表した。売上高は5兆1,954億円(前年同期比8.0%増)、営業利益は8,841億円(同7.6%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は4,855億円(同11.2%増)となり、過去最高の業績を達成した。全セグメントで増収を達成し、通信事業の構造改革が着実に進展した。
好調な業績を背景に、通期の業績予想を上方修正した。営業利益は+200億円、純利益は+30億円を見込んでおり、中期経営計画の最終年度における最高益更新を目指す。

モバイル売上は2.2%増、長期利用重視への構造改革で利益率向上
コンシューマ事業の売上高は前年同期比3.3%増の2兆2,532億円、セグメント利益は同6.3%増の4,683億円となった。ARPUが安定する中でワイモバイルブランドを中心としたスマートフォン契約数の伸長により、モバイル売上は前年同期比+2.2%の1兆2,030億円を計上した。累計スマートフォン契約数は前年同期比2%増の3,196万件に達している。
同社は持続的な成長に向け、従来の契約数拡大を主眼とした戦略から長期利用ユーザーの満足度向上と解約率の低減、獲得費用のコントロールによるライフタイムバリューの最大化を重視する方針へシフトした。
当第3四半期におけるスマートフォンの純増数は10万件の純減となったが、これは顧客獲得方針の変更に伴う意図的な構造改革の結果としている。
分散型AIデータセンターを基盤とする「ソブリンAI」戦略
宮川潤一社長は決算説明会において、単にGPUを並べた箱としてのデータセンターを構築するのではなく、これらを統合運用することでの巨大IT企業に対抗できるソブリンクラウドの提供を目指すと説明。「これからはクラウドサービスをやる会社になる」と宣言した。
この戦略の核となるのが、自社開発の基本ソフトウェア「Infrinia AI Cloud OS」だ。従来の物理サーバー(ベアメタル)の貸し出し形態では、専門エンジニアによる煩雑な初期設定に数週間から数か月を要していたが、このOSの導入により、企業は既存のクラウド同様の感覚でGPU計算基盤を即時利用可能となる。
AI需要が”学習”から、AIエージェントやフィジカルAIが日常に浸透する”推論”へと移行することを見越し、コアからAI-RANに至る全レイヤーの基盤を統合管理する体制を整え、2026年4月以降に順次サービスを開始する予定だ。

さらに、米OpenAIとの連携を通じた高度なアプリケーション層の展開も具体化している。2025年11月に発足した合弁会社「SB OAI Japan」は、OpenAIの法人向けプラットフォーム「Frontier」を基盤としたAIソリューション「クリスタル・インテリジェンス(Crystal intelligence)」を2026年中に日本国内で独占展開する予定だ。
また、顧客に寄り添い手厚くサポートするエンジニア(FDE)による導入支援体制を構築し、国産大規模言語モデル(LLM)「Sarashina」やオラクルとの協業によるデータ主権の確保と合わせ、日本市場に最適化された「ソブリンAI」を提供することで企業の経営変革を強力に支援していく。
金融・法人事業の拡大とメディア事業の課題対応
その他の事業セグメントも概ね堅調に推移している。ファイナンス事業は、PayPayおよびPayPayカードの決済取扱高(GMV)が前年同期比24%増の14.3兆円と、大きく伸長した。
法人向けのエンタープライズ事業も、企業のデジタル化需要を背景にクラウドやセキュリティなどのソリューションが好調で、売上高は同8.8%増と伸長している。
一方、メディア・EC事業は、LINEヤフーにおける広告事業の好調だったものの、子会社アスクルでのシステム障害による減収が響き、セグメント利益は同2.5%減のとなった。同社はシステム障害の課題に対処しつつ、FinTech領域などの戦略分野を強化することで、利益成長の回復を図る方針だ。
次世代経営体制への移行
同社は将来の成長を一段と加速させるため、経営陣の世代交代と若返りを進めている。2026年度からは榛葉淳副社長が取締役会長に就き、宮川潤一社長兼CEOとともに会社の舵取りを担う。新たに就任する役員の平均年齢は52歳となり、フレッシュな視点とスピード感を持った意思決定ができる体制への転換を図っている。
関連リンク: 2026年3月期 第3四半期 決算説明会資料
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