日立とGoogle Cloud、フィジカルAIとセキュリティでアライアンス拡大
2026年6月10日 10時00分更新

株式会社日立製作所(以下、日立)は2026年6月9日、Google Cloudとの戦略的アライアンスをフィジカルAIの社会実装とサイバーセキュリティの2領域に拡大すると発表した。現場のセンサーやカメラなどのデータをAIが解析し、設備や機器の自律制御に結びつけるフィジカルAIの社会実装をグローバルで加速させるとともに、AI型サイバー攻撃の脅威に対する自律型の次世代セキュリティソリューションを顧客企業に提供するとしている。
両社の協業は、2024年5月29日に発表された生成AIを活用した戦略的アライアンスの締結に始まる。日立はグループ内での導入実績、いわゆる「カスタマーゼロ」アプローチのもと、電力・産業分野の日立パワーソリューションズでGemini Enterpriseを活用した保守・点検業務の技術検証を実施し、製造やインフラといったOT領域との親和性を確認した。一方、Google Cloudが発行した「Mandiant M-Trends 2026」によると、AI技術の進化によりサイバー攻撃のプロセスが大幅に短縮されていることが指摘されており、こうした背景もアライアンス拡大の判断につながったとみられる。
HMAXを核にフィジカルAIの自律化を推進、AI時代のサイバー脅威には次世代ソリューションで対応
両社はForward Deployed Engineers(FDE)と呼ばれる専門家集団を通じて、今回の取り組みを推進する。FDEは顧客の事業現場に直接入り込み、経営課題の特定から概念実証(PoC)、アジャイルな実業務への実装まで一貫して担う。日立のコンサルタントやAIトランスフォーメーション(AX)エキスパート、米国子会社GlobalLogicのAIネイティブソフトウェアエンジニアが、Google Cloudのトップエンジニアと連携して顧客を支援する体制を整備するという。
フィジカルAI実装の中心プロダクトとして活用されるのが、日立の次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」だ。日立とGoogle CloudはHMAXにGemini Enterpriseの自律型AIとマルチモーダルなGeminiモデルを組み込む計画で、現場の画像比較による保守点検チェックなどのユースケースを取り込み、製造業や社会インフラにおける複雑なオペレーションの自律化を推進するとしている。FDE活動で得たドメインナレッジはGoogle CloudのAgent Readyなデータ活用技術を通じてデータ基盤に蓄積・再利用できる仕組みとし、スケーラブルな価値展開を可能にするとしている。
セキュリティ面では、日立の専門組織「Cyber CoE」が、Google Cloudの「Google AI Threat Defense」をはじめとするGoogle Securityの技術を活用する。クラウド・AIリスクの包括的な可視化と自動的なリスク低減を実現する「Wiz」や、サイバー脅威の専門知識を持つ「Mandiant」といったGoogle Cloudのセキュリティ技術に、鉄道・電力・金融などミッションクリティカルな領域で日立が培ってきたSI知見とグローバルなOTナレッジを組み合わせた次世代ソリューションを市場に提供するとしている。Google SecOpsについては、グローバルの日立グループ企業でカスタマーゼロとして有効性の検証が済んでいるという。
こうした実践的なAI実装の知見や技術は「Frontier AI Deployment Center」に集約され、国内エンジニアへ広く還流される仕組みも整備される予定だ。日立は社会インフラのDXをグローバルで推進する方針を掲げており、今回のアライアンス拡大はその実現に向けた重要な施策と位置づけられる。
参照:株式会社 日立製作所 2026年06月09日リリース
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