au Starlink Stationが国交省NETIS登録
2026年9月10日 09時30分更新

KDDI株式会社は2026年9月8日に、同社が展開するauエリア構築ソリューション「au Starlink Station」が、国土交通省が運用する新技術情報提供システム「NETIS(New Technology Information System)」に登録されたと発表した。NETISとは、民間企業などによって開発された優れた新技術の情報を共有し、公共工事等での積極的な活用を促進するために国土交通省が管理・運用するデータベースである。今回、登録技術名称「携帯電話不感地を解消するLTEエリア化ソリューション『au Starlink Station』」、登録番号「KT-260023-A」として2026年8月27日付で正式に登録された。国内の建設業界では、少子高齢化に伴う深刻な担い手不足や膨大な社会インフラの老朽化対策への対応が急務となっており、国土交通省が推進する「i-Construction 2.0」をはじめとする現場のデジタル変革(DX)が強く求められている。しかしながら、ダムや長大トンネル、山間部の橋梁といった大規模インフラ工事現場の多くは険しい山間部に位置し、携帯電話の電波が届かない通信不感地となっているケースが多い。現場にDXツールを導入しようとしても通信基盤が存在しないという根深い課題があったが、今回のNETIS登録により、現場環境の改善やコスト削減にとどまらず、施工者が本技術を選定・導入した際に公共工事の総合評価落札方式での技術点向上や工事成績評定での加点対象となるなど、制度面における極めて大きな活用メリットが期待されることとなった。
「au Starlink Station」は、米スペースX社が展開する低軌道衛星ブロードバンド「Starlink」をバックホール回線として活用し、通信不感地となっている建設現場などを迅速にauのLTE通信エリアへと転換するソリューションだ。直進性が高く遮蔽物に弱い一般的なWi-Fiとは異なり、障害物を回り込む特性に優れた800MHz帯のLTE電波を活用するため、電波が届きにくいトンネル坑内の奥深くや切羽付近といった過酷な空間でも広範囲かつ安定した通信環境を実現できる。この通信基盤の構築により、現場と遠隔の管理拠点間をリアルタイム映像で結ぶ「遠隔臨場」が低遅延で円滑に実施できるようになり、発注者と受注者の双方にとって負担となっていた段階確認などの立ち会いや移動に伴う時間を大幅に削減できる。また、Wi-Fi環境では実現できない携帯電話の音声通話や緊急通報(110番・119番発信)に対応しているため、万一の事故や体調不良が発生した際にも迅速な救護・連携体制を確保できる点が安全管理上の強みとなっている。さらに、各種環境センサーや監視カメラからのデータを常時リアルタイム伝送することで、危険区域への侵入検知や地盤変動の遠隔モニタリングも可能となった。

加えて、坑内全域をLTE化できる利点を活かし、ドローンによる高精度な3次元測量や建機・運行車両の遠隔操縦、自律走行ロボットによる資材搬送など、これまで導入が難しかった先端DXツールの安定稼働が可能となる。これにより、広大な現場に点在していた作業員を最適に配置転換し、建設現場の大幅な省人化と生産性向上を後押しする。また、掘削の進捗に合わせてアンテナなどの通信エリアを柔軟に延伸・拡張できるため、現場作業員は坑内から事務所や本部への報告・連絡を途切れることなく行うことができ、快適な労働環境の整備にも直結する。同社はこれまでにも、北海道新幹線渡島トンネル工事での運用開始をはじめ、トンネル坑内からの3D点群データのリアルタイム伝送やドローンポートを活用した遠隔巡回実証など、大手ゼネコン等と共同で多数の実績を積み重ねてきた。今後は国土交通省直轄の大規模工事から自治体発注の小規模・急傾斜地工事に至るまで導入を拡大させるとともに、KDDIスマートドローン株式会社との連携による自律飛行や建機の自動化を推進し、建設業界の持続可能な発展に貢献していく方針だ。
衛星通信を活用して通信不感地を解消し、現場の安全性向上と大幅な業務効率化を両立させるこの取り組みは、人手不足に直面する建設現場のデジタルトランスフォーメーションを力強く前進させる契機となる。




