ugo、AIロボット協会に参画 基盤モデル開発と社会実装を推進

2025年3月28日 10時30分更新


 業務DXロボットの開発を手掛けるugo株式会社は、一般社団法人AIロボット協会(以下「AIRoA」)に加入したことを発表した。

AIRoAは、AIとロボット技術の融合によるロボットデータエコシステムの構築を目指し、2024年12月に設立された団体である。産業の垣根を越えたオープンかつ大規模なデータ収集と基盤モデルの開発・公開を推進し、汎用性の高いロボットの実現に向けた活動を進めている。

 ugoはこれまで、業務支援ロボット「ugo」による警備・点検・案内などの現場業務を支援し、労働力不足の解決に取り組んできた。今回のAIRoAへの参画を通じて、現場で得られる貴重な業務データをロボット基盤モデルの構築に活用し、より多くの現場へのロボット導入と定着を促進することで、AIとロボティクスが社会基盤の一部となる未来の実現に貢献していく。

 近年、生成AI技術の進化とともに、ロボット基盤モデルやPhysical AI、Embodied AIといった領域への関心が高まっている。大規模言語モデルの発展に続き、視覚や言語の情報を行動に変換するVLA(Vision Language Action)モデルや、大規模なロボットデータセットを活用した研究が本格化している。

 ロボット基盤モデルとは、画像・言語・行動データを大量に学習させることで、ロボットに汎用的な知識とスキルを与えるAIモデルである。これまでのロボットは用途ごとに専用設計され、異なる環境や作業に柔軟に対応することが難しかったが、基盤モデルにより高度な自律動作や汎用的なタスク実行が可能になりつつある。また、こうしたモデルはソフトウェアの更新によって、導入後も継続的に新たなタスクや環境への対応力を高められる点が大きな特徴とされる。ugoは、AIRoAの活動を通じ、AI技術と現場の橋渡しを担いながら、業務現場へのロボット導入の拡大とその定着を後押しし、社会全体の課題解決と技術発展に寄与していく方針だ。

 2024年12月に設立された一般社団法人AIロボット協会(AIRoA)は、2025年3月27日に早稲田大学リサーチイノベーションセンター(東京都新宿区)で設立記念会見を開き、本格的な活動を開始した。AIRoAは、AIロボットの技術革新と社会実装を目的とし、トヨタ自動車、日産自動車、KDDI、NEC、富士通、三菱電機、ソフトバンクのAI子会社であるSB Intuitionsなど、22社が会員として参画、協会ではロボット基盤モデルの開発に重点を置いている。このモデルは、大量かつ多様な行動データを学習し、ロボットに汎用的な知識とスキルを付与するものだ。従来のように特定タスクに最適化されたロボットとは異なり、人間のように柔軟で自律的な動作が可能になることが期待されている。

 AIRoA理事の乃木愛里子氏(松尾研究所 経営戦略本部 マネージャー)は、これまでのロボット開発が特定の環境下で特定のタスクをこなす設計にとどまっていたことに触れ、基盤モデルでは人間が赤ちゃんから大人になる過程のように、汎用的な動作能力を育むことができると説明した。また、AIRoA理事長の尾形哲也氏(早稲田大学教授)は、ロボット基盤モデル開発競争が世界的に激化している一方で、その基盤となるデータがオープンになっていないことが課題だと指摘した。そのうえで、日本はロボット技術の蓄積があり、質の高いデータを収集・共有できるポテンシャルがあるとし、これを国内外のロボット開発に役立てていく考えを示した。

AIRoAは、まずロボット基盤モデルのためのデータ収集に取り組み、2025年中にモデルの開発と公開を目指す。将来的には、集めたデータを活用し、誰もが参加できるAIロボット開発コミュニティの発足も視野に入れている。

参照元:https://ugo.plus/news/2025/03/27/airoa/

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