楽天、エージェント型AI「Rakuten AI」を本格導入

2025年8月1日 10時45分更新


 楽天グループ株式会社は、2025年7月30日、エージェント型AIツール「Rakuten AI」の本格提供を開始したと発表した。本ツールは、楽天モバイル契約者向けコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」への搭載を皮切りに、同年秋にはECサイト「楽天市場」へも導入予定となっている。今後は「楽天エコシステム」内の各種サービスに順次展開され、AIエージェントを中心とした「エージェント型エコシステム」の構築が進められる見通しだ。

「Rakuten AI」は、ユーザーの意図を理解し、テキスト・音声・画像など多様な手段で情報検索や行動支援を行う次世代型のAIツールだ。リサーチ支援や文脈理解、提案機能に加え、楽天IDさえあれば誰でもウェブアプリ(ベータ版)から無料で利用できる点も特徴である。

 7月現在では、「Rakuten Link」アプリ上にてAIチャットと提案型プロンプトを活用した横断検索機能が提供されており、ユーザーは簡単な問いかけから複雑な検索・行動支援までをAIを介して実行できるようになっている。また、今後はユーザーの好みや行動データを統合し、最適な商品提案やサービス利用を後押しする設計となっている。

「Rakuten AI」は、特に日本語における文脈処理に優れており、国内サービスとの統合に最適化されている点も注目される。楽天グループが展開するショッピング、フィンテック、旅行、エンタメといった多分野のサービスとシームレスに連携し、ユーザー一人ひとりにパーソナライズされた体験を提供することを目指している。

 2025年秋には「楽天市場」への導入が予定されており、Eコマース分野においてもAIによる最適な購買提案が進むと見られる。ユーザーの購買履歴や検索傾向に基づき、エージェントが商品選びをサポートすることで、よりスムーズな購入体験の提供が期待されている。

楽天では、こうした取り組みを「AI-nization(エーアイナイゼーション)」と位置づけ、グループ全体のサービスにおいてAI導入を強化している。「Rakuten AI」の展開を通じて、単なる業務支援にとどまらず、ユーザーとAIの自然な関係構築を進め、日常生活や購買行動における意思決定そのものをサポートする構想を掲げている。

 楽天グループとして、「Rakuten AIは、リサーチ・判断・行動までを一気通貫で支援する新しいユーザー体験を提供する。今後は楽天のサービス群を横断して連携し、パーソナルかつ信頼できるAIエージェントを通じて、さらなる価値を届けていきたい」と述べている。

 楽天はこれまでも、ID連携によるポイント施策やサービス統合などを通じて経済圏の拡大を図ってきたが、今後はAIを活用することで、ユーザーとの接点そのものを進化させようとしている。「Rakuten AI」は、単なるチャットボットではなく、ユーザーの意思決定を共に進める“伴走型エージェント”として、楽天エコシステムにおける新たな中核となる可能性があると言えるだろう。

参考URL:https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2025/0730_01.html

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