日本航空電子工業の2段トレイコネクタ 小型化を実現
2026年7月27日 09時45分更新

日本航空電子工業株式会社は2026年7月に、nanoSIMカードおよびmicroSDカードを2段構造でセットして接続できるトレイプッシュ-プルタイプのコンボコネクタ「ST20シリーズ」を開発し、販売を開始したと発表した。モバイルネットワークの接続や音声通話に必要なSIMカードと、画像データや各種ファイルの保存・バックアップに用いられるSDカードは、多様なデジタル機器で広く採用されており、最近ではスマートフォンだけでなくドローンやドライブレコーダー、タブレットPC、ノートPCなど、nanoSIMカードとmicroSDカードの両方を組み込む電子機器が急速に増加している。同社は従来、両方のカードを平面上に並べて一括で接続できる小型設計のコンボタイプコネクタ「ST19シリーズ」を展開していたが、近年の機器内におけるバッテリー容量の拡大や新たな機能パーツの追加に伴い、基板上の設置スペースがますます逼迫する状況が生じていた。こうした電子機器メーカーや市場からの高度な省スペース化ニーズに対応するため、カードを裏表の2段構造で収める新構造を導入し、設置面積を大幅に削減できるコネクタの開発に至った。
この製品の最大の特長は、スロット内部に挿入する専用トレイの表面と裏面の両方にカードを装着できる2段トレイ構造を採用している点にある。従来モデルであるST19シリーズと比較した場合、基板上の占有面積を約50%削減することに成功しており、高密度な基板設計を行う上で極めて優れた省スペース性能を発揮する。外形寸法は高さ2.35ミリメートル、幅15.2ミリメートル、奥行き15.9ミリメートルという極小かつ薄型サイズに抑えられている。これを実現するために、ソケット部品とブロック部品という2つの独立したパーツを表面実装(リフロー工程)で基板上に配置してスロットを形成する手法をとっており、従来のパーツ同士を結合するための物理的な接続機構を排除することが可能となった。機能面においては、1つのスロットで「表面nanoSIM×裏面microSD」の組み合わせのほか、「表裏ともにnanoSIM」をセットする運用も選択できるフレキシブルな3in2仕様となっている。

製品の信頼性や耐久性を高めるための細やかな機能設計も多角的に盛り込まれている。カード挿入時やトレイ操作時における端子の変形を防ぐコンタクト座屈対策構造をはじめ、トレイの着脱状態を正確に感知するノーマルクローズタイプのディテクションスイッチ、逆向きや誤った手順での挿入を防止する構造、そして機器の振動や衝撃によるカードの脱落を防ぐ落下防止トレイなどがしっかりと標準装備された。一般仕様としては、20極にスイッチ用2極を加えた全22極で構成されており、挿抜寿命は2,500回をクリアし、マイナス25度からプラス85度という広い使用温度範囲に対応している。各信号コンタクトやカバーの実装部にはニッケル上金めっき処理が施されており、優れた電気特性と耐久性が確保された。スマートフォンやゲーミング端末をはじめとする高度なモバイル機器から、苛酷な環境下で運用されるドローンやドライブレコーダーに至るまで、幅広い市場の車載・産業・民生機器に幅広く適用される見通しだ。
このST20シリーズの市場投入により、高機能化とバッテリー大型化が進む最先端モバイル機器の基板省スペース化が力強く推進され、各種製品のさらなる小型化と自由度の高い筐体設計の実現に貢献していく。





