Appleのウェアラブル端末「Apple Watch」は2015年春に発売へ

2014年9月10日 16時34分更新


 米Appleは日本時間10日、新型iPhoneの発表に合わせて腕時計型の端末「Apple Watch」も発表した。価格は米ドルで349ドル、発売時期は2015年春を予定している。Appleは「Apple Watch」を「私たちが作ったものの中で最もパーソナルな製品」と位置付け、ウェアラブル市場に本格参入したかたちとなる。

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 「Apple Watch」はiOS8を搭載したiPhone5以降の端末と連携して利用し、iPadやiPhoneに届いたメッセージやメール、カレンダーなどを確認できる他、定型文や絵文字、音声入力で簡易返信できたり、既読や未読の操作をしたりすることが可能だ。本体との通信についてはWi-Fiを用いており、通信機能としては802.11b/gのWi-FiとBluetooth 4.0を搭載。

 全面にはRetineディスプレイのタッチパネルを搭載。指先でのタッチを認識するだけでなく、タッチの圧力までも感知するものとなっている。右側面に搭載されている竜頭型のダイヤルは「デジタルクラウン」といい、これをまわすことでズームやスクロールが可能。また押しこむでホーム画面に戻れる。「デジタルクラウン」の下にあるボタンを押すと、よく連絡をとる人がサムネイルで表示され、瞬時に連絡が取れるようになっている。時計表示のデザインは数多く用意されており、さらにカスタマイズも可能だ。

 マイクやスピーカーも搭載され、「Apple Watch」から音声通話を行える他、iPhoneの音声コントロール機能「Siri」も「Apple Watch」から操作できる。他にもナビ機能、Passbook、iPhoneのリモートコントロール(音楽再生、カメラ)、パソコン上のiTunesのコントロール等の機能を備えている。「Digital Touch」というコミュニケーション機能もあり、「Apple Watch」ユーザー同士で音声や指で描いた画像や自らの心拍数を送信できたりする。またAppleの新しい決済サービス「Apple Pay」を利用することも可能だ。

 ジャイロセンサーや加速度センサー、心拍センサーも搭載されており、健康管理用のアプリもインストールされている。「ムーブ」では1日の消費カロリーを計測でき、「エクササイズ」では運動量を、「ワークアウト」では有酸素運動の管理もできる。日々の健康からエクササイズまで、広く健康面の領域をカバーしている印象だ。また当然ながらこれらの数値はiPhoneでも管理できるようになっている。

 Apple Watch用の開発環境「WatchKit」も公開されるので、サードパーティ製のアプリが増えてくれば新たな使い方も創造される可能性もある。

 デザインは本体の大きさ、素材、ベルトの組み合わせを自由に選べるようになっているのも特徴だ。本体は38mmと42mmの2つのサイズが用意され、素材はステンレススチール、シルバーアルミニウム、18Kイエローゴールドなど6種類、バンドはリングブレスレットからミラネーゼループ、スポーツバンドなど多彩な種類がある。Appleではこれらの代表的な組み合わせを3つコレクションに分け、標準モデルとなる「Apple Watch」、強度が強く、酸化皮膜処理された軽量アルミニウムで作られたスポーツ向けの「Apple Watch SPORT」、サファイアクリスタルでコーティングされ高級感あふれる「Apple Watch EDITION」を用意した。それぞれは「Apple Watch」18モデル、の「Apple Watch SPORT」は10モデル、「Apple Watch EDITION」は6モデルとなっている。

 ウェアラブル端末は今年に入ってから注目され始め、Googleもウェアラブル端末用のOS「Android Wear」を公開し、サムスン、LG、モトローラ、ソニーなど様々なメーカーが出してきている。しかしそこまで普及していないのが現状だ。スマートフォンと連携とありつつも「何ができる」のかが未だ不明瞭であり、そのメリットがユーザーにとって届いていないのが一因だと思われる。そういう点でAppleが発表するウェアラブル端末は大いに注目されており、iPhoneとの強固な連携で新たな価値を発信してくれると期待されていた。
 今回の「Apple Watch」はその期待に見合う内容だったかは、発売が先であり、詳細なスペックは公開されていないので、まだ判断できないだろう。しかしiOS8の新機能で「ヘルスケア」が追加される以上、Appleは運動だけでなく日々の健康管理という点で、スマートデバイスをより我々の生活に密着した存在にしようとしている意図は窺えるだろう。この「Apple Watch」がウェアラブル端末のスタンダードモデルを示すことになるのか、2015年春の発売を心待ちにしたい。

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