ソフトバンクとSUBARU、 自動運転車のユースケースに関する実証実験を実施

2020年11月25日 10時42分更新


 ソフトバンクとSUBARUは、自動運転社会の実現に向けて、第5世代移動通信システム(以下「5G」)およびセルラーV2X※1通信システム(以下「C-V2X」)を活用した安全運転支援や自動運転制御に関わるユースケースの共同研究を2019年から進めているが、このたび合流時車両支援の実地検証を行い、2020年8月に世界で初めて※2成功した。
 今回の実証実験では、スバル研究実験センター美深試験場(北海道中川郡美深町)のテストコースに設置したソフトバンクの「おでかけ5G」(局地的に電波品質の高い5Gを提供できる可搬型設備)と、ノンスタンドアローン標準仕様※3の5Gネットワーク環境およびC-V2Xの通信環境を活用して、合流時車両支援の二つのユースケースにおける技術検証を行った。また、技術検証に必要な車両位置情報の取得には、ソフトバンクの高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」※4を活用した。
 一つ目のユースケースでは、高速道路などで自動運転車が合流路から本線車道へスムーズに合流することを目指して、検証を行った。この検証では、車両の各種情報を5Gネットワーク経由で基地局近くにあるMEC※5サーバーに伝送し、MECサーバー側で得られた車両情報を用いて、合流路を走行する自動運転車が本線車道を走行している車両に衝突する可能性の予測計算を行う。衝突する可能性がある場合、MECサーバーから合流する自動運転車へ警告および減速指示を含むメッセージを送信し、メッセージを受信した自動運転車は、車載センサーで取得した周囲情報と併せて、適切な制御情報の計算を行う。低遅延・高信頼な通信が求められるこのユースケースでは、5GネットワークとMECサーバーを活用することで、合流車両が制御情報をもとに、本線車道を走行する2台の車両間にスムーズに合流することに成功した。

 二つ目のユースケースでは、渋滞などによって本線車道を走行する車両の間に合流可能なスペースがない場合に、自動運転車がスムーズに合流することを目指して、検証を行った。この検証では、本線車道に接近した自動運転車から本線車道を走行している車両に、本線車道への進入要求および減速指示を含むメッセージを送信する。メッセージを受信した車両は、合流における最適な位置関係になるよう制御計算を行う。このユースケースでは、合流直前の限られた時間とスペースでのコミュニケーションという観点から、狭域での通信に有用性があるC-V2Xの車車間通信を活用し、合流車両と本線車両間の最適な位置関係を計算して、スムーズに合流することに成功した。

 ソフトバンクとSUBARUは、今後も車両制御システムと5GおよびC-V2Xの連携を見据えたユースケース検証を行い、安全・安心なクルマ社会の実現に向けて研究開発を進めていくとのこと。
[注]
※1 3GPP(移動通信システムの規格策定を行う標準化団体)で標準化された通信規格で、モバイルネットワークを用いて車両間、交通インフラと車両間、ネットワークと車両間、歩行者と車両間などで通信をする技術。
※2 2020年11月24日現在。(両社調べ)5G、C-V2X使用による自動運転車を用いた実車ベースでの合流支援の検証および挙動確認として世界初。
※3 LTEとの連携によって5Gの性能や機能をいち早く実現できるようにする仕様。
※4 準天頂衛星「みちびき」などのGNSSから受信した信号を利用してRTK測位を行うことで、誤差数センチメートルの測位情報を可能にするサービス。詳細はこちらをご覧ください。
※5 Multi-access Edge Computing:端末から近い位置にデータ処理機能を配備することで、通信の最適化や高速化をすることができる技術。

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