ソフトバンク2016年3月期決算を発表、増収増益でスプリント事業にも自信

2016年5月13日 15時46分更新


 ソフトバンクグループは5月10日、2016年3月期決算を発表した。売上高は前年同期比8%増となる9兆1535億4900万円、営業利益は同9%増となる9994億8800万円で増収増益。
 当期純利益は、前年度のアリババ上場の一時益の反動で前年同期比29%減の4742億円となったが、その影響を除くと前年比23%増になるとしている。
 
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事業資産

 主力の国内通信事業は、売上高が同4%増の3兆1447億円、セグメント利益は同8%増の6884億円となった。端末販売台数は102万4000台減となる1066万2000台。これは、主にスマートフォンおよび従来型携帯電話の販売数がいずれも前期を下回ったことによるものであり、スマートフォンの販売数については、新規契約数は前期から増加したものの、機種変更数の減少がそれを上回る結果となった。
 また総合ARPUは前期比30円増の4700円であった。このうち通信ARPUは同40円減の4150円となったものの、サービスARPUが同50円増の540円となり総合ARPU増に貢献した。
 そして孫社長がアピールしたのが「SoftBank 光」の成長。同サービスの累計契約数の増加とともに、ブロードバンドサービスの通信サービス売上が着実に増加していくと見込んでいる。孫社長は、「やっと光ファイバーのサービスでも、収益が十分に成り立つという事業モデルが構築できましたので、この1年間積極的にこれを伸ばし、業績がその結果、着実にあがってきたということ」と述べた。
 
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 サービス開始以来右肩上がりの黒字が続くヤフー事業は、売上高は前年同期比53%増の6520億円、利益が同15%増の2228億円。2015年8月にアスクルを買収したことによる売上増に加え、ディスプレイ広告の売上増が広告事業の増収に貢献した。
 ショッピング事業は取扱高が同62%増の1128億円となり、初の1000億円台超え。この2年間でYahoo! JAPANのeコマースのモデルをアリババモデルに切り替えたことが功を奏したという。
 
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 そして、懸念材料となっているSprint事業は売上高が前年同期比2%増の3兆8716億円、利益が同8%減の6148億円。米ドルベースでは売上高が同7%減の321億8000万ドル、利益が同21%減の5億600万ドルであった。
 孫社長はSprintについて強気の姿勢を見せた。「純増の改善・売上の安定化」「OPEX削減」「多様な調達手段」「ネットワーク改善」の“反転の戦略”を集中的に行っており、これが進展してきたのだという。その結果は、ポストペイドの携帯端末の純増、解約率の低下、コスト削減として数値に表れ、売上高は底を打って反転した。
 同氏は、Sprintについて次のように締めくくった。「今やソフトバンクモバイルは、世界でも有数のフリーキャッシュフローを稼げる会社になりました。スプリントも見ててください。私のプライドにかけて、もう一度V字回復を実現させてみせようではないかという決意でありまして、その見通しがこうやって公言できるところまできたということであります」。
 
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投資資産

 投資事業について、孫社長は「世界的に新興市場で新たな世界的起業家が続々と誕生しつつあり、投資の大いなるチャンスが到来している」と述べ、今後さらに拡大させていく方針だという。
 具体的な投資の成果として、流通世界最大手ウォルマートの流通売上総額、取扱高総額を年度ベースで初めて逆転し60兆円規模を取り扱うアリババが、売上高2兆円、取扱高で60兆円に達した。また、インドのSnapdealやOYO、韓国のCoupang、インドネシアのTokopediaがいずれも大幅に業績を伸ばしおり、アジアのEコマース企業が好調であることをアピール。そのほか、トランスポーテーション分野ではOLAとGrab、フィンテック分野ではSoFi、ゲーム・メディア分野ではSupercellやhikeも好調に推移しているとのこと。
 
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 最後に孫社長は総括として、国内の通信がフリーキャッシュフローを毎年コンスタントに4,000億円、5,000億円という規模で稼げるレベルになっていること、スプリントが反転してきたこと、投資事業は順調に伸び盛りであると述べ、「(その3つの項目で)我々ソフトバンクはこれからが伸びの本番になるということで、さらなる成長をお約束していきたい」と自信をあらわし、決算発表を締めくくった。
 
 
 
 

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