トヨタの実証都市 Woven Cityが9月25日より本格始動

2025年9月26日 10時35分更新


 トヨタ自動車株式会社は2025年9月25日、静岡県裾野市で開発を進めてきた次世代モビリティ社会の実証都市「Toyota Woven City(ウーブン・シティ)」のオフィシャルローンチを迎え、関係者を招いたイベントを開催した。Woven Cityは2020年のCESで構想が発表され、ウーブン・バイ・トヨタ株式会社(WbyT)と共同で開発が進められてきた人が暮らす「モビリティのテストコース」だ。今回の正式稼働により、企業・個人が様々なプロダクトやサービスの実証を開始するとともに、住民(Weavers)が居住を始め、モビリティカンパニーへの変革を体現する場として歩みを進めることになったのようだ。トヨタは自社のものづくり知見、WbyTのソフトウェア技術、さらに各参画者の強みを掛け合わせる「カケザン」によって新たな価値創出を目指しており、2025年9月時点で計20のInventorsが参画していると言える。

 Inventorsには、ダイキン工業株式会社による「花粉レス空間」、ダイドードリンコ株式会社による自販機を通じた新価値創造、日清食品株式会社の新たな食文化実証、UCCジャパン株式会社のコーヒーと創造性・生産性の検証、共立製薬株式会社のペットと人の共生研究など、多様なテーマがそろっているのようだ。トヨタ自身も、e-Paletteを用いたモビリティサービス実証や、電動小型三輪モビリティによるシェアサービス「Personal Mobility Vehicle」、自律走行ロボットによるシェアカー自動搬送サービス「Summon Share」などを展開する計画だと言える。また、シンガーソングライターのナオト・インティライミ氏が初のアーティストInventorとして参加し、音に関する実証に加え、Woven City Anthemとサウンドシンボルをプロデュースすることが決定しているのようだ。こうした多彩な企業・個人が「カケザン」によってコラボレーションすることで、これまで存在しなかった製品やサービスが生まれることが期待されると言える。

 さらにトヨタは、スタートアップや大学・研究機関など幅広い参加者を募るアクセラレータープログラム「Toyota Woven City Challenge – Hack the Mobility -」を9月8日から開始し、2025年10月14日までアイデア応募を受け付けているのようだ。Woven Cityでは、住む人・訪れる人であるWeaversがInventorsのプロダクトやサービスを試し、使い勝手や感想を提供する仕組みを導入しており、そのフィードバックが発明の質を高めると言える。2025年9月からはトヨタ関係者とその家族数世帯が居住を開始し、Phase1では最終的に300名程度が暮らす予定だ。一般ビジター受け入れは2026年度以降を計画しているとの事。トヨタの豊田章男会長(Master Weaver)はローンチイベントで「Woven Cityで起こしていくのは『カケザン』です」と語り、笑顔の未来をつむぐ場にしたいと強調した。2018年のCESでモビリティカンパニーへの変革を宣言して以来、仲間づくりと準備を重ねてきた同社にとって、今回のローンチは大きな節目と言える。Woven Cityで生まれるプロダクトやサービスは、街にとどまらず日本や世界の人々の幸せに寄与することを目指しており、トヨタが描く「すべての人が自由に移動できる社会」実現への挑戦がここから本格化するのようだ。

※参考URL:https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/43347821.html

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