住信SBIネット銀行上場廃止。ドコモ連結子会化で「通信×金融」加速

2025年9月25日 11時07分更新


 住信SBIネット銀行株式会社は、2025年9月24日付で、翌25日をもって東京証券取引所スタンダード市場における株式上場を廃止すると発表した。これは、同年8月28日に開催された臨時株主総会で株式併合に関する議案が承認されたことに伴う措置であり、上場廃止基準に該当したためである。同行は2007年の事業開始以来、インターネット専業銀行として成長を続けてきたが、今後は株式会社NTTドコモの連結子会社となり、新たな経営基盤のもとで事業展開を進める。

この経営転換の背景には、2025年5月29日に発表されたNTTとSBIホールディングスの資本業務提携がある。同日、NTTの子会社であるNTTドコモは住信SBIネット銀行株式の公開買付けを開始し、同年7月に買付けを完了。持株比率65.81%を取得し、実質的に同行を子会社化した。さらに三井住友信託銀行も34.19%を保有し、議決権比率ではドコモと三井住友信託銀行が50%ずつを分有する構造となった。

ドコモは、これまで展開してきた「dカード」「d払い」などの決済事業に加え、銀行口座・融資・証券サービスとの一体化を図る。これにより、スマートフォン一つで資産管理から投資までを包括的に行える“統合型金融プラットフォーム”を目指す方針だ。また、dポイントと連携した優遇施策や、ドコモショップを活用した口座開設支援などにより、利用者基盤の拡大も狙う。

さらに、住信SBIネット銀行が強みを持つ住宅ローンやBaaS(Banking as a Service)分野でも、ドコモの販売網や法人ネットワークと掛け合わせることで競争力の向上を図る。SBI証券やSBIグループとの銀証連携も継続し、資産運用や次世代金融サービスの開発を共同で推進する計画である。これらの動きは、デジタル金融サービスの高度化と顧客利便性の向上を同時に進めるものといえる。

住信SBIネット銀行は、これまでの上場企業としての歩みに区切りをつけ、新たにドコモグループの一員として再出発することになる。円山法昭社長は「通信と金融の融合による革新的なサービスの提供を通じてさらなる企業成長を図るとともに、豊かさが循環する社会の実現に向けて取り組んでまいります。」とコメントしている。

住信SBIネット銀行:当社株式の上場廃止に関するお知らせ
NTTドコモ:住信SBIネット銀行株式会社の普通株式に対する公開買付けの開始、及び資本業務提携契約の締結に関するお知らせ
NTTドコモ:日本電信電話株式会社とSBIホールディングス株式会社の資本業務提携契約の締結に関するお知らせ

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