NTT決算、2022年度3Qは増収増益

2023年2月10日 13時15分更新


 NTT[9432]は02月09日、2022年度 第3四半期の決算を発表した。営業収益・当期利益ともに過去最高となり、従来予想は据え置きとなった。NTT東西を中心とした電気代負担が増加し維持コストが膨らんだ。

■決算概況
 営業収益は9兆5,726億円(YoY+7.3%)、営業利益は1兆5,208億円(YoY-1.2%)で増収減益。当期利益は1兆325億円(YoY+0.2%)となった。グローバル・ソリューション事業セグメントの増収等が増収要因となったが、電気代高騰等の影響をカバーしきれず減益。当期利益は法人税等の一過性の増益要因等によりプラスとなった。
また、電気代高騰の影響は年間で600億円を見込んでいるが、これに変更はないとのことだった。

■セグメント別での実績

【総合ICT事業】
 料金値下げの影響が続くが、法人事業とスマートライフ事業が依然好調でカバーし、増収増益。コンシューマ通信事業は、中大容量プラン拡大によりARPUが改善。MNPもプラスが継続している。

【地域通信事業】
 電気料金の高騰が大きく影響し、減収減益。オンライン授業等のニーズ減少や、オリパラ等一過性の収益がなくなったことも響いた。年間計画に対しては、引き続きコスト削減とSI事業など成長ビジネス収入の拡大で増収増益を目指すとした。

【グローバル・ソリューション事業】
 NTT Ltd.による、欧州等でのSI事業の規模拡大やデータセンター事業の拡大による増収等に加え、構造改革によるコスト削減等により、海外営業利益率は対前年+1.0pt改善し6.4%となった。増収のうち、為替影響は約2200億円となっている。

【その他(不動産・エネルギー)】
 前期と同様、エネットにおける電力取次の増加と燃料価格の高騰を反映した電気料収入増等で、対前年で増収増益となった。

docomo 決算

■決算概況
 営業収益は4兆4,244億円(YoY+1.5%)、営業利益は8,888億円(YoY+0.3%)で増収増益。当社株主に帰属する四半期利益は、6,435億円(YoY+3.5%)となっている。

■セグメント別での実績
 「法人事業」「スマートライフ事業」が引き続き成長を牽引し、「コンシューマ通信」の減益を上回った。進捗も順調だとした。

【法人事業】
 電気料金の高騰等の影響を受けたが、ドコモとNTT Comの統合など効率化によりセグメントとしてはYoY+280億円の増益となった。
法人向け統合ソリューション収入は4,668億円で、YoY+358億円と堅調。中でもIoTソリューションが今後成長を牽引する1つと見ており、取り組みを強化している。副社長の前田義晃氏は、各産業での水平展開を進めることで、大企業から中小企業までの需要を取り込める可能性を示唆した。

【スマートライフ事業】
 マーケティングソリューションと金融・決済が好調で、セグメントとしてはYoY+158億円の増益。金融・決済の取扱高は81,400億円。中でもd払いは前年同期比で+47%となった。
マーケティングソリューションでは、NISSINなど他業種メーカーとの施策を複数の加盟店と合同で実施しており、今後も支援ビジネスを拡大させていくとした。

【コンシューマ通信事業】
 コンシューマ通信は-410億円の減益。引き続きお客様還元の影響で減少したが、減少幅は縮小している。中容量と大容量のニーズ増加によるアップセルとMNPの改善、さらにコスト効率化で補った形。3QにおけるARPUへの影響はギガホが大きく、ahamoも「ahamo大盛り」の契約増加によりマイナス影響が緩和されたと見られる。
5Gの契約数は1,822万契約で、YoYで2倍となった。昨年12月より「ドコモ青春割」「はじめてスマホプラン」を導入するなど、若年層獲得にも動いている。

■デュアルSIMサービスについて
 KDDIとソフトバンクが2023年3月下旬以降に提供することを発表していたデュアルSIMサービスについて、NTTの島田明社長が言及。「そんなに遅れることなく、同じようなタイミングで展開できると思っている」と話した。詳細についてはコメントできないものの、料金についてはKDDIとソフトバンクと同様に数百円程度になると見込みだ。

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