ソフトバンクと東京科学大、上空ドローンと地上端末の電波干渉を制御する屋外実証に成功
2026年4月2日 10時44分更新

ソフトバンクは2026年3月31日、東京科学大学および パナソニック ホールディングスの協力の下、上空のドローンと地上のスマートフォンなどの端末が同一周波数帯を共用する際に発生する電波干渉を大幅に抑圧する「基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラー」の屋外実証実験に成功したと発表した。
この技術は、移動通信ネットワークを従来の平面から上空まで拡張する「移動通信三次元空間セル構成」の実現を目的としたもので、隣接する基地局がリアルタイムで連携して干渉を打ち消すことで、通信の混雑や速度低下を劇的に改善する成果を得たという。

現在の5Gネットワークは、主に地上での利用を想定した2次元のセル構成で設計されている。しかし、都市部における高層ビルの利用増加や、ドローンによる物流・点検といった「空の産業革命」の進展に伴い、通信エリアを上空まで含めた3次元へ拡張することが急務となっている。
ここで最大の障害となるのが、同一周波数帯を利用した際の電波干渉だ。上空を飛行する端末からの電波は、地上の障害物に遮られにくいため遠方の基地局まで届きやすく、地上端末の通信品質を著しく低下させる原因となる。同一の周波数を隣接するエリア(セル)で利用する場合、特にセル境界における通信速度の低下は避けられず、安定した通信環境の構築が困難とされてきた。
ソフトバンクと東京科学大学は、こうした課題を解決するため、2021年から情報通信研究機構(NICT)の委託研究として「移動通信三次元空間セル構成」の研究開発を推進している。2025年1月には、5G基地局と衛星通信地球局といった異なるシステム間の干渉を抑える技術の実証に成功しており、今回は同一システム内での隣接セル間干渉を制御する技術へと進展させた形だ。
実証実験で10dB以上の干渉抑圧を達成
千葉県長生村で実施された屋外実証実験では、4.8GHz帯の周波数と20MHzの帯域幅を用い、実際の利用環境に近い条件下で性能が検証された。アンテナ間距離60mの環境において、地上端末と高度30mの上空端末を混在させ、セル境界での通信品質を測定した。
実験の結果、地上端末同士がセル境界に位置する場合、隣接セル間の干渉により通信容量は3Mbps以下まで低下した。また、上空のドローンからの干渉が加わる上り回線では1Mbps以下まで落ち込む場面もみられた。「基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラー」を適用することで10dB以上の干渉抑圧を確認し、地上と上空の端末が混在するセル境界付近においても、上り・下りともに8~10Mbpsという、この構成における理論上の最大値に近い通信速度を維持することに成功した。

この数値は、ドローンによる高精細なリアルタイム映像伝送や、精密な機体制御を安全に行うために十分な通信品質と言える。ソフトバンクは今後、さまざまな実環境での検証を重ね、さらなる技術の高度化を目指す方針だ。将来的には、2025年1月に実証実験に成功した「システム間連携与干渉キャンセラー」と今回の「基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラー」を組み合わせ、3次元空間における包括的な干渉制御技術の確立を狙うとしている。
ソフトバンク リリース: https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2026/20260331_01/





