商用5Gで触覚を伝えるロボットの遠隔操作に成功
2026年3月2日 09時30分更新
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株式会社NTTドコモは2026年2月25日に、慶應義塾大学と共同で商用5Gを活用し、物に触れた際の手応えをリアルタイムに伝えるロボットの高精細な無線遠隔操作の実証実験に成功したと発表した。この実験は、低遅延スライシング技術の一つである「Configured Grant」を導入した商用5Gネットワークと、慶應義塾大学が開発した「リアルハプティクス」というロボティクス技術を組み合わせたものである。商用5Gを介したロボットの無線遠隔操作において、Configured Grantの有効性を証明した取り組みは世界で初めての事例となる。この技術の確立により、従来は困難であった繊細な力加減や手応えの伝達を、無線環境下でも安定的かつ高精度に実現できることが示された。

今回の実証実験の核心は、モバイル通信特有の課題である「無線区間での遅延」の抑制にある。従来の通信方式であるDynamic Grantでは、データ送信のたびに基地局へリソースの割り当てを要求する必要があり、この手順がスケジューリング遅延を発生させていた。しかし、Configured Grantを適用することで、基地局が特定の端末にあらかじめ通信リソースを割り当てておくことが可能となる。これにより、端末は要求手順を踏まずに即座にデータを送信できるため、遅延やその変動が大幅に低減された。検証の結果、Configured Grantを用いた5G通信は、リアルハプティクスロボットの運用に求められる厳しい通信遅延要件を十分に満たし、力の再現性や操作性を劇的に向上させることが確認された。
実験では、ドコモの商用5G SA(Stand Alone)と、クラウド上で動作するロボット用プラットフォーム「Bilateral Edge Platform」を用いた高度な構成がとられた。具体的には、操作者が扱うリーダーロボットと、実際に作業を行うフォロワーロボットの間で、位置や力、速度のデータを双方向に同期させる検証が行われた。映像伝送などの負荷を想定した通信環境下で木片を運搬するタスクを実施したところ、Configured Grantを適用した場合は、適用しない場合と比較して力触覚再現率が40%向上した。また、動作の滑らかさを表す指標でも59%の改善が見られ、ロボットのガタツキを抑えたスムーズな操作が可能になった。この成果は、屋外や移動体でのロボット利用、さらには高度な遠隔医療や精密作業への応用を大きく前進させるものである。
両者は、この画期的な成果を2026年3月にスペインで開催される「Mobile World Congress Barcelona 2026」にて展示し、世界に向けて技術力を発信する。今後も、商用ネットワークにおける高度なロボット遠隔操作の早期実用化を目指し、さらなる技術開発と検証を継続していく方針だ。
最新の5G技術と触覚伝送技術の融合は、物理的な距離を超えた精密作業の可能性を広げ、産業や医療のあり方を根本から変える可能性を秘めている。
参考URL:https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2026/02/25_00.html





