KDDI、つくば市の自動運転バスで遠隔監視の本格運用を開始

2026年10月5日 09時10分更新


 KDDI株式会社は2026年10月1日に、KDDIスマートモビリティ株式会社とともに、茨城県つくば市で運行される関東鉄道の路線バス「筑波大学循環」ルートにおけるレベル2自動運転バスの運行開始に合わせ、「モビリティコントロールセンター」での自動運転車両の遠隔監視を10月2日より本格運用開始すると発表した。全国的な人口減少や少子高齢化が進展する中、地方都市や学園都市をはじめとする地域交通の維持とドライバー不足の解消は喫緊の社会課題となっている。こうした背景を受け、同社は2023年度からつくば市、筑波大学、および関東鉄道株式会社と緊密に連携し、先進的な自動運転技術を地域公共交通へ安全に社会実装するための共同実証実験を段階的に積み重ねてきた。今回の本格運行においては、KDDIが車両と監視拠点を結ぶ高品質な通信ネットワークの整備や遠隔監視の運用を主導する一方、KDDIスマートモビリティが培ってきた地域交通事業の専門知見を注入し、事業全体の企画立案や進捗管理、運行成果の測定などを統括して推進する。これにより、通信インフラの安定性、安全運行を見守る遠隔監視体制、そして利用者の乗車価値向上という3つの要素を一体的に融合させた次世代モビリティサービスの運用基盤を確立させた。

運行ルート

 この取り組みの基盤を支える技術面では、東京都内に設置された「モビリティコントロールセンター」から、つくば市内を走行する自動運転バスの運行状況や車内環境をリアルタイムに一元管理する遠隔監視体制が稼働した。走行中の車両から送られる大容量の映像データや各種センサー情報を途切れなく送受信するため、同社の安定したモバイル通信網が活用されている。監視拠点のオペレーターは高精細な映像を通じて車両の走行軌跡や速度、周辺交通の状況を常時把握し、現地の運行管理者や乗務員と密に連携しながら安全運行を支える。同社はこの本格運用を通じて、2027年度に予定されている運転席無人化を見据えた「レベル4」自動運転への移行に必要な遠隔監視の実務ノウハウや技術知見を徹底的に蓄積していく方針だ。さらに、レベル4の実装に不可欠となる高度な車内見守りシステムとして、車内異常検知技術の検証も並行して進められている。2025年度の実証事業においてAIカメラを活用した乗客の転倒検知および監視拠点への自動通知の実証に成功していたが、今回の運行ではこれを発展させ、車内のリアルタイムな乗車人数の把握や、運転席周辺などの立入禁止エリアへの侵入をAIカメラが自動認識して遠隔監視者へ即座に通報する新たな検知機能の検証も実施される。

 また、KDDIグループは運行の安全管理にとどまらず、利用客に向けた移動体験の向上と新たな乗車価値の創出にも踏み込んでいる。同社とKDDIスマートモビリティは、グループ企業のKDDI Digital Life株式会社と連携し、自動運転バスに乗車した「povo2.0」ユーザーに対してデータ通信容量を無料で提供する「povo Data Oasis」を期間限定で展開する施策を打ち出した。通信インフラを単に車両運行や監視の支援に留めるのではなく、車内で過ごす乗客のデジタル体験に直接還元することで、移動時間を快適で魅力的なものへと変革し、自動運転バスそのものに対する利用促進や乗車動機を高める狙いがある。同社グループは、現場での実運行を通じて得られた通信品質の変動データや遠隔監視の運用実績をフィードバックし、2027年度に目指す完全自動運転の運行体制の確立を急ぐ。今後は車両をつなぐ強固な通信回線と、遠隔から見守る監視基盤、そして移動を豊かにする付加価値サービスを包括的に組み合わせることで、全国の自治体が直面する交通課題を解決し、地域社会に持続可能な自動運転サービスの定着を図る構えだ。

 通信キャリアのネットワーク力と遠隔監視技術を結集し、移動体験の向上までを包括したこの取り組みは、ドライバー不足に直面する地域交通の維持と次世代のレベル4自動運転社会の実現を力強く牽引する試みとなる。

参考URL:https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-1185_4743.html

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