【光通信技術展】光ネットワーク技術の最新動向とIoTを活用した事業変革~NTTコミュニケーションズ・宮川晋氏
2018年4月12日 09時31分更新
2018年4月4日~6日までの3日間、東京ビッグサイトで「第2回 通信・放送Week」が開催され、3日間で約2万5000人が来場するなど盛り上がりを見せた。
今話題の通信分野「5G」「光通信」や放送分野「4K8K 撮影・編集・伝送・表示」に関連した製品が多数出展されたほか、最新動向を取り上げた専門技術セミナーも同時開催され、光通信技術に関連したセミナーには、NTTコミュニケーションズの経営企画部 IoT推進室 室長である宮川晋氏が登壇。「光ネットワーク技術の最新動向とIoTを活用した事業変革について」と題して講演を行った。
講演では、IoTを用いることにより飛躍的に変化していくビジネス環境について事例を示すとともに、それを支える土台となる最新の光ネットワークやその周辺の通信技術が紹介された。
現在、世界のIoT端末数は急増している。2015年には154億台であったが、2020年には304億台になる見込みだ。また、IoTへの投資も拡大しており、2020年に250Bユーロ(約33兆円)に到達する見通しである。
IoTの活用が今後ますます進展することは間違いないが、そのIoTの拡大を支えるために必要になるのが、高速大容量なバックボーン、低速でもリーズナブルで使いやすいアクセス、クラウドを利用したデータ処理基盤、そしてIoTを含めたサイバーセキュリティ対策である。
NTT Comでは、ウェア型生体センサ「hitoe」を用いた運転手の運行管理見守りサービスや、ドライブレコーダーの映像から危険運転をAIで検知し、運転意識の向上や事故防止につなげる運転支援解析といった取り組みを行っている。しかし、「そのような事例はごく一部(宮川氏)」であり、多くは、建物内の温湿度や人の有無などの環境状態の遠隔監視や、業務用冷蔵庫の温度や開閉状況などの遠隔監視のためのセンサとして導入されているのが実情だという。
そこで、同社では、デバイスとクラウド間を簡単に接続してスピーディーなIoTシステム導入を実現するためのプラットフォームサービス「Things Cloud」を提供することで、IoT導入をサポートしている。
このように、安くて簡単に使えるIoTサービスの活用が広まると、次に必要になってくるのが、IoTを支える通信ネットワーク技術である。
現在、世界各地で光海底ケーブルの敷設ラッシュが続いている。IoTビジネスの拡大によりトラフィック需要が急増し、通信事業者やOTT(Over the Top)が積極的に投資しているためだ。「現在実用化されている最速の伝送速度100Gbpsを超える1Tbps程度の商用展開が近年中には行えるようになる(宮川氏)」という言葉が示すように、IoTを支える通信ネットワーク技術はますます発展している。
しかし、ここで問題となるのが、IoT通信のセキュリティである。トラフィックの増加にあわせて、年々サイバー攻撃が増加しているのは周知の事実だが、さらに近年はサイバー攻撃の手法も巧妙化している。
猛威を振るっているDDoS攻撃は、PCを乗っ取るだけではなく、そこら中に普及したIoT機器を乗っ取り、数百Gbpsにものぼる非常に大規模な攻撃が発生するようになっており、さらにはウィルス生成技術の向上により、アンチウィルスソフトの検知率は5%と低下し、現在ではほとんど無力化してしまっているという。
このような状況の中、サイバー攻撃を受けた企業は、マイナスイメージが付くことを恐れて被害を自ら公表することはなく、「ニュースとして表に出てきているのはほんの一部(宮川氏)」だという。
では、ウィルス検知も難しく、サイバー攻撃の手法が巧妙化する中、端末側に強力なセキュリティを入れることが困難なIoTのセキュリティをどのように確保すればいいのだろうか。
宮川氏によれば、その答えが「ネットワークの保護」だという。具体的には「プロキシサーバーのログの適切な取得と分析」「IPS、サンドボックス等の多層防御と正しい運用」「エンドポイント端末における対策の強化」という3つの対策ポイントがあるとして、セキュリティ対策の重要性を説き、セミナーを締めくくった。