NTTグループと三菱ケミカル、水島コンビナートで免許不要の60GHz無線を実証。東京・岡山間で遅延0.1秒未満を確認
2026年4月7日 11時02分更新

NTTドコモビジネスらNTTグループ4社*1と、1Finity、三菱ケミカルは2026年4月6日、次世代ネットワーク技術「IOWN APN」と60GHz帯無線LAN(WiGig)を組み合わせた大容量・低遅延通信環境の構築を、岡山県の水島コンビナートで検証したと発表した。エンド・ツー・エンドで0.1秒未満の遅延を達成し、屋外スマートメンテナンスの実現に向けた技術的な裏付けを得たとしている。
大規模な工場設備が集積するコンビナートでは、安全・安定稼働のために設備の定期点検が欠かせない。高所作業を含む点検は現場作業員への負担が大きく、省人化・自動化の必要性が高まっている。一方で、従来のコンビナートは通信インフラの整備が遅れており、スマートメンテナンスの導入事例も少ないため、通信が整備されないからスマートメンテが進まず、スマートメンテが進まないから通信の高度化も進まないという悪循環、いわゆるデッドロック状態が続いていた。ローカル5Gの活用も選択肢として浮上しているが、日本では無線免許取得など制度面のハードルが依然として高い。
こうした背景から、3者は無線免許が不要なWiGigとIOWN APNを組み合わせることで、制度面のハードルを回避しつつ通信環境を構築するアプローチを採用した。
IOWN APNと60GHz無線LANの組み合わせで、コンビナートの通信課題を解消へ
2026年2月に実施した検証では、三菱ケミカル岡山事業所とNTTグループの東京都内ビル間(約700km)をIOWN APNで接続。岡山事業所内の約2km区間は、無線中継器18台を用いたWiGig環境を約6時間で構築した。
高周波帯通信では電波の直進性が強く障害物に弱いため、移動する人や車両・ロボットへの安定した無線接続が従来の課題とされてきたが、今回の検証ではこれらへの接続も問題なく動作することが確認された。

主な検証結果
・上り伝送量:最大900Mbps
・エンド・ツー・エンド遅延:往復約1,400kmのAPN区間と約2kmのWiGig無線区間を組み合わせた構成で0.1秒未満
・4Kカメラ8台による映像データ(合計約400Mbps)の同時伝送を確認
・移動する人・車両・ロボットに搭載されたセンサーへの無線接続にも対応

IOWN APNに用いたNTTドコモビジネスの「docomo business APN Plus powered by IOWN」は100Gbpsの伝送に対応可能な光ネットワーク技術で、既存の光ネットワーク設備を活用することから、東京・大阪以外の地域のコンビナートにも展開できるとしている。
今回の実証を通じ、NTTグループらは、遠隔地のデータセンターなど外部の計算資源と接続することで、マルチモーダルAI(映像・音声・テキストなど複数の入力情報を統合して判断するAI)による高精度なリアルタイム状態把握が実現できる見通しが立ったとしている。今後、複数のロボットやデバイスを同時制御できる通信環境のさらなる高度化と、複数拠点でのマルチオペレーションに対応したネットワーク・コンピューティング基盤の実証を進める方針だ。各社は国際団体IOWN Global Forumを通じて、この技術モデルの標準化と社会実装を推進していくとしている。
*1 NTT東日本株式会社、NTTドコモビジネス株式会社、NTTドコモソリューションズ株式会社、株式会社NTTデータグループ
関連カテゴリー





