GMO AIR、Unitreeと代理店契約。販売から保守まで一括支援
2026年6月23日 10時10分更新

GMO AI&ロボティクス商事(GMO AIR)は6月19日、人型ロボット(ヒューマノイド)メーカーのUnitree Roboticsと国内正規代理店契約を締結したと発表した。Unitree製ロボットの販売を同日付で開始し、導入支援からソフトウェア開発、保守運用までを一括で提供する。
カウンターポイントリサーチの調査*1によると、2025年の世界のヒューマノイド導入台数は約1万6000台で、中国が世界の導入台数の8割以上を占めた。メーカー別では1位が上海のAGIBOTで約32%、Unitreeが約27%で2位となっている。上位5社の合計シェアは73%に達しており、市場の寡占化が進んでいる状況がうかがえる。
成長続くヒューマノイド市場。Unitreeの主要製品を用意
GMO AIRは2025年4月からUnitree製ロボット「G1」を使ったヒューマノイド派遣サービスを展開してきたが、これまでは機体の販売は手掛けていなかった。今回の正規代理店契約により、人型ロボット「G1」「H1」、四足歩行ロボット「Go2」「B2」などUnitree Roboticsの主要製品を販売できるようになり、取扱機種・サービス範囲が広がった。研究開発用途から実証実験、業務利用まで、用途に応じた機体を提案するという。
さらに、販売にとどまらず、導入設計や動作開発、システム連携、保守運用、安全性検証までを一貫して支援する体制を整えた点も今回の契約の特徴だ。グループのセキュリティ技術を活用し、通信の安全性を確保した導入環境を提供するとしている。
人型ロボットに注力する理由として、建物や設備など社会インフラの大半が人間を前提に設計されているため、人間と同じ身体構造を持つ人型ロボットが既存環境を大きく変えずに導入できる点を挙げている。
羽田空港での実証や渋谷にショールームも開設
GMO AIRはUnitree Roboticsとの代理店契約に先立ち、自社サービスにUnitree製の人型ロボット「G1」を採用し、強化学習による動作開発や現場運用の知見を蓄積してきた。
具体的な取り組みの一つが、2026年5月からJALグランドサービスと共同で羽田空港で進めている実証実験だ。手荷物や貨物の搭降載といったグランドハンドリング業務の省人化・効率化を目的に、国内初となる空港での人型ロボット活用に着手している。航空業界が抱える人材不足に対し、24時間稼働できる人型ロボットの導入で安定した運用体制の構築を目指す内容となっている。

研究開発体制の面では、2026年4月7日に東京・渋谷のセルリアンタワー11階に「GMOヒューマノイド・ラボ 渋谷ショールーム」を開設したことも今回の動きにつながっている。延床面積382坪のうち約半分を先行オープンし、10月には全面開業を予定する大規模拠点で、複数メーカーの人型ロボットを比較検証し、業種別の最適な動作プログラムを開発する機能を持つという。GMOインターネットグループ、GMO AIR、GMO Various Roboticsの3社が共同で研究開発を進めている。
技術基盤はあるが社会実装は道半ば、つなぎ役としてのGMOの存在
経済産業省が2025年10月にまとめた資料*2では、日本は産業用ロボット分野で培った技術基盤を持つ一方、AIロボティクス領域では米欧中に比べて出遅れているとの見方が示されている。過去には「ロボットによる社会変革推進計画」(2019年)等を通じて導入環境の整備が進められてきたが、本格的な社会実装には至っておらず、特に自動車や半導体といった産業領域に比べ、サービス領域での遅れが目立つという。
同資料は、米中でAIロボティクス開発が進む中、ハード・ソフト両面の技術革新や人材エコシステム形成でも劣後すれば、既存の産業用ロボット領域における競争力すら失う恐れがあると指摘している。
こうした状況を踏まえると、国内のヒューマノイド需要は当面、海外メーカー製品を国内企業が取り扱う形で拡大していく可能性の方が高いとみられる。今回のGMO AIRとUnitree Roboticsの提携も一例となりそうだ。
GMOインターネットグループの熊谷正寿代表は、生成AIがロボットという身体を得て現実社会を変える力を持つことをフィジカルAIと表現し、GMOグループが持つ通信・クラウド・セキュリティ・金融の知見を結集して、日本企業と世界のヒューマノイド産業をつなぐ役割を担い、社会実装をリードしていく考えを示した。国内のAIロボティクス領域において、こうした橋渡しの存在が今後の社会実装のスピードを左右しそうだ。
GMO AIRは今後、空港・物流・施設管理・点検・警備・建設など幅広い産業領域への導入を加速し、人型ロボットの社会実装における国内最大級の商社を目指すとしている。
出典:
GMO AIR:リリース(2026/06/19)
*1 Counterpoint Research:Global Humanoid Robot Installations Reach 16,000 Units in 2025 as Mass Production Picks Up Pace
*2 経済産業省(2025/10):AIロボティクス検討会 参考資料





