ICT総研は5月26日、「2021年MVNO格安SIMの利用者動向調査」の結果をまとめた。右肩上がりのペースは鈍化しているものの、2020年末時点でSIMカード型が1604万契約に達する(総務省)など、まだMVNO市場の微増傾向は継続している。今回の調査では、個人向けMVNO格安SIMの市場について、利用者の動向を把握することを目指したとのこと。携帯電話利用者に対するWebアンケートの回答結果を基にしている。
個人向け携帯電話利用者のうち、MVNO利用者は15.8%
携帯電話利用者に対して、個人として利用しているブランドを聞いたところ、NTTドコモ 28.5%、au 21.7%、UQ mobile 3.5%、ソフトバンク 15.8%、ワイモバイル 7.4%、楽天モバイル(UN-LIMIT) 7.3%、MVNO 15.8%となった。MVNO利用者の比率は前回調査(2019年10月)とほぼ同様であるが、楽天モバイルのMNOサービス開始、UQ mobileのMVNOからMNOへの定義変更などがあり、単純比較は難しいとのこと。
前回調査時には楽天モバイルはMVNOとしてのみのカウントであったが、今回はMNOとしての利用者数だけで7.3%出現した。また、NTTドコモの「ahamo」、au(KDDI)の「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」といったMNOのオンライン専用プランの利用者が、数%ではあるものの出現してきている点が目新しいとのことだ。
個人向けMVNOの内訳は、楽天モバイルが15.9%でトップ。mineo 14.3%が続く
MVNO利用者に、個人向けで利用しているブランドを複数回答で聞いたところ、「楽天モバイル」(MVNO)が15.9%となり、出現率ベースでトップとなった。以下、オプテージ(関西電力子会社)の「mineo」 14.3%、NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」 9.6%、「LINEモバイル」(LINEMO以外) 9.4%、「IIJmio」 8.7%、「BIGLOBEモバイル」 8.4%、「イオンモバイル」 5.4%と続いている。
上位4社で市場シェアの約半分、上位7社で市場シェアの約7割を占める状況である。なお、MVNOとしての楽天モバイルおよびLINEモバイル(LINEMO以外)は現在、新規受付を停止中。両者のMNOブランドに利用者を誘導している状況にあるため、今後は減少していくことになりそうとのこと。
利用者満足度が最も高い項目は、「契約手続きのしやすさ」。平均64.2ポイント
今回調査対象としたMNO、MVNOの合計全27ブランドの利用者に対して、「契約手続きのしやすさ」や「事業者に対する信頼性」などの10項目の満足度を聞いた。その結果、利用者満足度の平均が最も高かった項目は「契約手続きのしやすさ」であり、100点満点換算満足度ポイントは平均64.2ポイント。利用者満足度が最も低かった項目は「コールセンターのつながりやすさ」であり、平均47.8ポイントであった。
過去の調査においては、MNO利用者の料金系の満足度が非常に低い傾向となっていたが、今回調査では、オンライン専用プランの導入効果等もあり、MNO利用者の満足度が全体的に底上げされているとのこと。
個人向けMVNOの総合満足度トップはmineo (70.0ポイント)。次点はIIJmio
10項目の満足度を総合した「総合満足度」は、mineoが70.0ポイントでトップとなり、IIJmio 69.5ポイント、LINEモバイル 68.0ポイントと続いた。mineoは前回調査でも総合満足度トップとなっている。
mineoは、「契約手続きのしやすさ」、「最適な料金プランの有無」など、料金系の項目で高い評価を得た。
次点のIIJmioは、「事業者に対する信頼性」で高い評価を得たことが、総合満足度を押し上げた。
2018年に政府から「携帯電話料金は4割下げられる」との声が起こってから、ここ2~3年でMNO3社による分離プランの実施、オンライン専用プランの導入、楽天モバイルによるMNOサービス開始などが続き、日本国内の携帯電話料金全体が下がる傾向が続く。このことは、結果的にMVNO利用者の増加に歯止めをかける形になっているとも言え、MVNOにとっては、料金面でのメリットが薄れてきているため、分かりやすいプラン、独自色を打ち出したプラン等で生き残りを図っていく必要があるだろうとのことだ。