MVNO「格安SIM」利用者のシェア、楽天モバイルが30.2%でトップ ― ICT総研調べ
2019年10月10日 11時19分更新
株式会社ICT総研は10月10日、「2019年MVNO格安SIMの市場動向調査」の結果をまとめた。同調査は、引き続き拡大局面にあるMVNO格安SIM市場の実態や利用動向の把握を目的としたもので、インターネットユーザー10,907人に対するWebアンケートの回答結果を基にしている。
Webアンケート実施時期は2019年10月2日から10月9日で、Webアンケートで個人向けのMVNO格安SIM事業者として回答があったブランドは、楽天モバイル、mineo、UQ mobile、IIJmio、OCNモバイルONE、BIGLOBEモバイル、LINEモバイル、イオンモバイル、NifMo、nuroモバイル、BIC SIM、b-mobile、U-mobile、トーンモバイル、ServersMan SIM、エキサイトモバイル、DMM mobile、DIS mobile、DTI SIM、その他MVNO事業者となっている。なお、ソフトバンクのサブブランドである「ワイモバイル」については、MVNOに加えていない。
個人向けMVNO「格安SIM」利用者シェアは、楽天モバイルが30.2%でトップ
スマートフォンに個人向けのMVNO格安SIMを挿して利用しているユーザーに対するアンケートの回答を集計した結果、現在個人ユーザーが利用している事業者は、楽天モバイルが30.2%となり、出現率ベースでトップとなった。UQコミュニケーションズの「UQ mobile」が15.9%、オプテージ(関西電力子会社)の「mineo」(マイネオ)が12.7%、NTTコミュニケーションズの「OCNモバイルONE」およびインターネットイニシアティブの「IIJmio」が6.1%、LINEモバイルが5.8%で続いた。ICT総研が実施した前回調査(2018年7月)と比較すると、特にUQ mobileとLINEモバイルのシェア拡大が目立つ。この上位6社でシェア76.8%を占める形となっている。
「料金プラン」の満足度ポイントはMVNOユーザー平均72.7、MNOユーザーと大きな差
スマートフォンでの個人向けMVNO格安SIMユーザーに対して、10項目の指標で満足度を聞き、満足度ポイントを100点満点換算した結果、MVNOユーザーは、「コストパフォーマンスの高さ」(平均74.2ポイント)、「最適な料金プランの有無」(平均72.7ポイント)など、料金面に対する項目の満足度が非常に高い結果となった。この傾向は、前回調査と同様となっている。「最適な料金プランの有無」の満足度トップは、イオンモバイル (78.8ポイント)となった。
MNOユーザーに対しても同項目の満足度を聞いているが、「コストパフォーマンスの高さ」が平均44.6ポイント、「最適な料金プランの有無」が平均46.1ポイントと、非常に低いポイントとなっており、MVNOユーザーとの満足度の差が著しい結果となった。
動画視聴の品質・安定性はMNOユーザー平均60.4ポイント、MVNO平均を上回る
一方で、「ホームページ閲覧の品質・安定性」、「ホームページ閲覧の速度」、「動画視聴の品質・安定性」、「動画視聴の待機時間・速度」など、MVNOの弱点とされる通信品質面については、MVNOユーザーの満足度ポイントが低くなっており、前回調査と比較しても、さらに平均ポイントを落としている。
そんな中、「ホームページ閲覧の品質・安定性」ではmineoが、「動画視聴の品質・安定性」ではNifMoがトップとなった。また、「データ通信の速度」については、UQ mobileが前回調査に続いてトップとなっている。
「コールセンターのつながりやすさ」、「コールセンターの対応」など、サポート面の項目についても、他の項目と比較してMVNOユーザーの満足度ポイントは低い傾向が見られる。「事業者に対する信頼性」については、前回調査までIIJmioが3年連続でトップであったが、今回調査ではmineoが71.0ポイントでトップとなった。
総合満足度はmineoが68.6ポイントでトップ、事業者の信頼性などで高い評価
10項目の満足度項目を総合した「総合満足度」は、mineoが68.6ポイントでトップとなり、LINEモバイル、イオンモバイルがこれに続いた。トップとなったmineoは、「事業者に対する信頼性」、「コストパフォーマンスの高さ」などのポイントの高さが、総合満足度に寄与している。
MVNOユーザーの73.0%がMNOからの乗り換えという結果に
総務省によると、MVNOサービスのうち、「SIMカード型」の契約数は2019年6月末時点で1,385万契約。この1年間で22.9%増加したことになる。また、移動通信の契約数全体に占めるMVNOサービス契約数の比率は12.2%と、前年同期の11.1%から拡大した。数年前と比べると、成長ペースは鈍くなっているものの、ICT総研は「いまだ拡大局面にあることは間違いない」と分析する一方、楽天がMNOとして本格的な商用サービスを開始する際に、「MVNOシェアトップの楽天モバイルのユーザーがどの程度移行していくかは、MVNO市場全体にとって大きな変動要因となるだろう」(ICT総研)としている。
今回調査では、MVNOユーザーの73.0%がMNOから乗り換えたと回答している。この点について、ICT総研は、「NTTドコモ、au、ソフトバンクのMNO 3キャリアのいわゆる分離プランが浸透することで、この傾向が変化していく可能性もある」とした上で、「今後は初めてスマートフォンを契約するユーザーがMVNOを新規契約するケースや、MVNOユーザー間の乗り換えも少しずつ増えていくものと見込まれる」と分析している。