クラウドサービスの理解度、わずかに低下の傾向

2014年8月7日 15時00分更新


・パブリッククラウドの利用率は25.1%と年々増加

・企業のクラウド利用の主な目的はITの効率化によるコスト削減と、クラウドのポテンシャルの一部にしか期待されていない

 
 
  IDC Japan株式会社は2014年4月に実施したユーザー動向調査「2014年 国内クラウド調査」の結果を発表した。
 これによると国内企業におけるクラウドの利用/導入率は堅調に増加しているようだ。例えば2014年調査ではパブリッククラウドを利用中と回答する企業割合は25.1%となった。

 一方クラウドの認知度(理解度)は2013年まで毎年堅調に向上してきたが、2014年調査ではわずかに低下した。この背景には、従来ASP(ホスティング型アプリケーションサービス)や仮想化を「クラウド」と認識してきた企業が、「クラウドの本質」を考えるようになり、クラウドを「理解している」との回答率が下がったためと考えられる。またクラウドに対する印象は従来から肯定的な印象を持つ企業が多かったが、2014年調査では「安価」「迅速」といった利点に対する回答率がわずかに減少するなど、クラウドに対する正しい理解が進み、期待過剰傾向にあったクラウドの印象の是正されたためと考えられる。

 ユーザー企業のクラウドに対する重要な期待はコスト削減を始めとしたITの効率化。反面、事業や社会活動を変革するプラットフォームとなりうる側面についてあまり意識されていないようだ。IDCでは「『ITの効率化』と『ITを使ったイノベーション』」というクラウドが持つポテンシャルを最大限発揮できるような戦略が必要、と分析している。

 確かにクラウド導入のメリットは、セキュリティ対策費用も含めてコスト削減が押し出されている。ただこれはやはり一義的。クラウドが持つ可能性をしっかりと提案できる体制を各ベンダーが持てれば、クラウド市場は大きくドライブがかかると思われる。

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