自治体の災害情報発信を効率化!ヤフーがLアラート連携で自動通知

2025年6月6日 10時30分更新


 LINEヤフー株式会社は、同社が提供する生活情報サービス「Yahoo!くらし」を基盤とし、「Yahoo! JAPAN」アプリと「Yahoo!防災速報」アプリにおいて、自治体が発表する「避難所開設情報」をプッシュ通知で直接ユーザーに配信する新機能の提供を開始した。この機能の最大の特徴は、総務省が推進する全国的な災害情報共有システム「Lアラート」と完全に連携している点にあり、災害時における自治体の情報発信の負担を大幅に軽減しつつ、住民へのより迅速かつ確実な情報伝達を実現することを目的としている。

 この新機能開発の背景には、災害発生時に自治体と住民が直面する深刻な情報格差と課題がある。株式会社Specteeが2024年8月に実施した調査によると、全国の自治体の防災・災害担当者のうち、実に57.5%が災害発生時の課題として「迅速な情報収集・提供」を挙げており、これが最も大きな悩みであることが浮き彫りになった。一方で、デジタルツールやSNSを情報収集・発信に活用できていると回答した担当者は44.4%に留まっており、情報伝達の重要性を認識しつつも、デジタル化への対応が追いついていない実態が明らかになった。住民側も同様の課題を感じており、災害時に自治体に求める要望として「正確で迅速な情報提供」が52%で最多、次いで「避難所の開設と場所の情報提供」が48.4%を占めている。このことは、いざという時に、どこへ避難すれば良いのかという最も基本的で重要な情報が、最も強く求められているという状況がある。

 今回LINEヤフーが開始した新機能は、こうした自治体と住民双方の課題を解決するための具体的なソリューションとなっており、仕組みは非常にシンプルかつ効率的だ。災害が発生し、自治体が避難所を開設する際に、その情報を一度「Lアラート」に入力すると、その情報は「Yahoo!くらし」が提供する「自治体からの緊急情報」の枠組みを通じて自動的に処理され、「Yahoo! JAPAN」アプリと「Yahoo!防災速報」アプリのユーザーに対して、プッシュ通知として即座に配信される。これにより、自治体職員は、従来のように放送局や新聞社、各種アプリ事業者など、複数のメディアへ個別に入稿するといった煩雑な作業から解放される。まさに「ワンオペレーション」で、国内最大級のプラットフォームを通じて、地域住民へダイレクトに情報を届けることが可能になる。

 この連携がもたらすメリットとして自治体にとっては、職員の負担を増やすことなく、むしろ大幅に軽減しながら、情報伝達の迅速性と確実性を飛躍的に高めることができる。これは、限られた人員で対応せざるを得ない災害時において極めて重要であり、自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進にも大きく貢献する。一方で、住民にとっては、自身のスマートフォンに直接、近隣の避難所が開設されたという命を守るための情報がプッシュ通知で届くため、テレビやラジオを視聴していない状況でも、情報を逃すことなく、早期の避難行動に移すきっかけとなる。通知は、ユーザーがアプリで事前に設定した地域情報、またはスマートフォンの位置情報を利用した「現在地」に基づいて配信されるため、自宅や職場、外出先など、その時にいる場所に応じた最適な情報を受け取ることができる。

 LINEヤフーと災害協定を締結している自治体は全国約1,600にのぼり、これらの自治体で本機能が活用される。リーチできるユーザー基盤は極めて広大で、月間DUB(デイリーユニークブラウザー)が1億700万を超える「Yahoo! JAPAN」アプリと、累計ダウンロード数が6,800万以上の「Yahoo!防災速報」アプリを通じて、膨大な数の人々に情報を届けることが可能だ。なお、「自治体からの緊急情報」で「Lアラート」と連携したプッシュ通知をユーザーへ配信するのは、LINEヤフーとして初めての取り組みとなる。

 LINEヤフーは「Yahoo!くらし」をはじめとする各サービスで、今後もユーザーの生活と自治体の運営をより便利にサポートし、特に災害時における住民への確実な情報配信を強化していくことで、安全・安心な社会の実現に貢献していくとのことだ。

参照元:https://www.lycorp.co.jp/ja/news/release/017875/

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