モビリティリゾートもてぎでローカル5G実証、高精細映像配信を検証

2025年3月12日 10時47分更新


 NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、アルプスアルパイン、双日テックイノベーション(以下、STech I)の3社は、モビリティリゾートもてぎにおいてローカル5Gの実験環境を構築し、高速移動する車両からの高精細・低遅延な映像配信の実証実験を実施した。

 NTT Comは、モータースポーツ分野でICTを活用した取り組みを進めてきた。サーキット場では、センサーデータの送信、無線機の利用、キャッシュレス決済、車載カメラの映像伝送など、さまざまな用途で無線通信が活用されている。近年、レース観戦の臨場感を向上させるために、レースカーのオンボード映像をリアルタイムで配信する技術への需要が高まっているが、イベント開催時には数万人規模の来場者がスマートフォンを利用することで通信が混雑し、安定した無線通信が確保しづらい状況が発生していた。この課題を解決するため、3社は以下の3つの取り組みを行った。 

ローカル5Gシステムを活用した安定通信の構築:ローカル5Gは、一般的なキャリア5Gとは異なる周波数帯を使用できるため、来場者の通信による影響を受けずに安定した通信環境を確保できる。今回の実証では、この特性を活かして、サーキット場の運営や車両のデータ通信において高品質な無線通信を実現した

高速移動に適した基地局の設置とチューニング:サーキット場には、建物やトンネル、地形の起伏など、電波の届きにくいエリアが存在する。そこで、ローカル5G基地局の最適な配置とチューニングを実施し、通信エリア全体の品質向上を図った。また、一般的なキャリア5Gのハンドオーバー(基地局間の通信切り替え)は高速移動に特化していないため、今回の実証ではレースカーの高速移動に適したハンドオーバーのパラメータを調整した。

基地局と5Gコアの無線接続技術の検証:通常、ローカル5Gの基地局と5Gコアは光ケーブルなどの物理線で接続されるが、環境によっては物理線の敷設が困難な場合がある。そこで、今回はミリ波帯無線システムを活用し、基地局と5Gコアを無線で接続する技術の検証を行った。この取り組みにより、柔軟なローカル5G環境の構築が可能となることを確認した。

<高速移動に適したローカル5G基地局の設置、およびチューニングの実施>

 

<基地局と5Gコアの無線接続に関する検討>

 この実証の結果をもとに、ローカル5Gを活用した高精細・低遅延なオンボード映像の配信や、安定したキャッシュレス決済環境の提供を推進する。また、ミリ波帯無線システムを活用したローカル5Gの実用化に向けたさらなる検証を続ける。

 さらに、高速移動する車両やドローンからのリアルタイム映像を活用した監視・警備・点検などのユースケースにも適用可能かを検討し、ローカル5Gの活用領域を広げていく。

参照元:https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2025/0311.html

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