レベル4の遠隔監視にAIエージェント、KDDIが11月から実証開始
2026年10月26日 09時15分更新

KDDIは10月22日、レベル4自動運転で1人の監視者が多数の車両を同時に見守る「1対N型」遠隔監視を支援するAIエージェントを開発したと発表した。異常で停車した車両の対応優先度を判定し、推奨対応を提示する機能を備え、11月から「モビリティコントロールセンター」で実証を開始する。
遠隔監視型のレベル4自動運転では、遠隔監視システムと、車両の状況確認や異常時の対応を担う特定自動運行主任者(監視者)の配置が義務付けられている。KDDIは、人手不足に対応し、運行コストを抑えながら導入を広げるには、1人の監視者が複数台を担当する1対N型の実現が重要だとしている。一方、多数の車両で異常が重なった場合、監視者は各車両と周辺の状況をリアルタイムに把握し、どの車両から対応するかを迅速に判断する必要がある。
背景にあるのは深刻な運転手不足だ。政府は2030年度までに自動運転サービス車両を国内に1万台導入する目標を掲げており、KDDIはその実現と持続的なサービス提供に、1対N型の体制構築と監視業務の効率化が欠かせないとしている。
同社のモビリティコントロールセンターは、車両の位置や映像、音声、運行状態、通信品質、異常時のアラートなどをリアルタイムで確認できる体制を整えており、2025年7月15日には、新東名高速道路を走る自動運転トラックで異常検知、現場駆け付け、車両退避の一連の実証に成功したほか、2026年10月からは、KDDIスマートモビリティとともに茨城県つくば市の自動運転路線バスの遠隔監視も始めているという。
異常の同時発生に備える優先度判定

こうした取り組みを踏まえて開発したのが、今回のAIエージェントだ。車両や遠隔監視システムからの異常アラートを契機に、対象車両と周辺状況の分析を始める。アラート発生時点だけでなく、停車後の落下物の飛来や周辺の交通状況の変化も継続的にAIで検知・分析するという。監視者が別の車両に対応している間も、状況の変化に応じて優先度を更新するという。新たな異常の見落としリスクの低減や、優先度の高い車両への迅速な対応を支援するとしている。
状況分析には、画像と言語を合わせて理解するAIであるVLM(視覚言語モデル)を活用する。車両のカメラ映像と各種車両情報を組み合わせて分析し、緊急通報や現場駆け付けの手配といった推奨対応と、その判断理由を画像と文章で監視画面に示す仕様だ。監視者は映像や情報の重要な箇所を重点的に確認したうえで、最終判断を下す形となる。
実証は2026年11月から、多数の車両で異常が同時発生する状況や、停車後に周辺状況が変化する場面を模擬して行う。KDDIは有効性を検証し、KDDIスマートモビリティと協力しながら改善と高度化を進め、2027年以降の早期の社会実装を目指す方針だ。





