KDDI 2025年3月期決算、増収増益と発表
2025年5月14日 17時05分更新
KDDI株式会社は2025年5月14日、2025年3月期(2024年4月~2025年3月)の連結決算を発表した。売上高は5兆9,180億円(前期比2.8%増)、営業利益は1兆1,187億円(前期比16.3%増)となり、中期経営計画の主要目標を1年前倒しで達成したと報告。
親会社の所有者に帰属する当期利益も6,857億円(前期比7.5%増)に達した。
この成長は、各事業の堅調な推移と、同社が推進する「サテライトグロース戦略」、AI分野への注力によるものだ。KDDIは「つなぐチカラ」の進化を掲げている。KDDIが推進する「サテライトグロース戦略」は、5G通信を核とし、金融、エネルギー、エンターテインメント、ヘルスケア、宇宙領域やAIといった多様な分野へ事業を拡大し、シナジー創出による企業価値最大化を目指すものだ。
「つなぐチカラ」の進化に関しては、高品質5Gネットワークとして国内最多となる5万局超のSub6/ミリ波基地局を整備した。英国のOpensignal社による世界の通信事業者評価では「信頼性エクスペリエンス部門」で世界1位を獲得したとの報告があった。さらに、混雑時でも快適な通信を実現する「au 5G Fast Lane」の提供も開始した。また、空が見えればどこでもつながる「au Starlink Direct」は、SpaceX社との連携により、衛星とスマートフォンが直接通信するサービスを日本全国で開始した。これにより、山間部や災害時など、従来の携帯電話ネットワークが届きにくい場所でもメッセージ送受信などが可能となる。
デジタルデータとAIによる新たな価値創出として、AIマーケット構想では利用者が自分に合ったAIサービスを見つけられるプラットフォームの構築を目指す。大阪堺AIデータセンターは、2025年4月にシャープ堺工場を取得し、Google Cloudとの連携のもと、AI時代を支える重要インフラとして整備を進めていると発表。2026年3月期には「Gemini」の導入も予定している。
各事業も好調でパーソナルセグメントでは、「au Starlink Direct」や「au 5G Fast Lane」といった新たなネットワーク価値を提供し、顧客体験価値の向上とLTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す方針だ。Pontaパスとローソンの連携強化も進んでいる。
ビジネスセグメントはDX推進の中核として、特にIoTやデータセンターといったグロース領域が売上成長を牽引した。
2026年3月期のビジネスセグメント売上高は1兆5,900億円を目指すとした。金融事業は通信との連携を強化し、2025年3月期には営業利益406億円(前期比20.7%増)と二桁成長を達成。今後も顧客基盤の拡大を目指す見込みだ。ローソンはKDDIとのシナジー効果もあり、業績は好調に推移した。KDDIはテクノロジーでローソンの次の成長を支援する方針を示した。2026年3月期の見通しと株主還元について、KDDIは、2026年3月期も増収増益を目指しており、具体的な業績予想を売上高6兆3,300億円(前期比7.0%増)、営業利益1兆1,780億円(前期比5.3%増)、当期利益7,480億円(前期比9.1%増)と開示した。
株主還元にも積極的で、2026年3月期の1株あたり配当金は前期比7.5円増の80円を予定し、24期連続の増配を目指す。さらに、総額4,000億円を上限とする自己株式取得も決議したと報告した。KDDIは、強固な通信基盤をベースに、AIや宇宙技術といった最先端分野へ挑戦し、新たな価値を創造していく。革新的なサービスや未来への投資は、生活やビジネスに変化をもたらす可能性があり、同社の「Tomorrow, Together」の精神のもと、今後の展開が注目される。
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