KDDIがVRを活用した災害対策ツールを制作、JR西日本が導入へ
2017年2月15日 16時46分更新
KDDI は、ルームスケールVR「HTC Vive」などを使った「VR による災害対策訓練ソリューション」の提供を開始する。西日本旅客鉄道(JR西日本) では、同ソリューションを、新宮駅と和歌山市駅を結ぶ紀勢線の津波対策に関わる運転士向けの訓練に2017年4月以降順次導入する。
JR西日本和歌山支社では、南海トラフ巨大地震や、それに伴う津波発生などの万が一の事態に備えるべく、ハード・ソフト両面での様々な対策を進めているが、紀勢線において南海トラフ地震が発生した場合、総延長の約3分の1にあたる約73kmの区間が津波で浸水し、特に、紀伊半島南岸に位置する白浜~新宮駅間は、地震発生から5分以内に10mを超える津波が襲うという厳しい想定がなされている。
そのため、運転士のさらなる判断力の向上を目指し、JR西日本とKDDIが共同で開発したVRを活用した災害対策ツールの導入に至った。
VRコンテンツは、運転士の視点が360度動画で撮影されている。対象区間は紀勢線の一部区間 (串本駅~新宮駅区間) 約43km。現時点で最高水準の9Kの高解像度 (VR向け画質) で撮影されており、リアルな走行感や避難誘導の判断に必要となる標識などを肉眼で確認することができる。
コンテンツは、「最適行動の演習コンテンツ」と「地震・津波発生疑似体験コンテンツ」で構成。「最適行動の演習コンテンツ」は、JR西日本 紀勢線内における「想定浸水深」および「自列車の位置から最寄りの避難出口」や「高台」の位置などが、実際の地理と重ね合わせて確認することができ、訓練を行うことができる。「地震・津波発生疑似体験コンテンツ」は、地震発生とそれによる津波発生という万が一の自体を、よりリアルに疑似体験することができる。
運用開始日は、2017年4月以降を予定しており、JR西日本和歌山支社の新宮列車区と紀伊田辺 (きいたなべ) 運転区において各1セットを導入する。
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