JX金属が光通信機器需要に対応、InP基板の生産能力を最大10倍に拡張

2026年6月16日 10時27分更新


 JX金属株式会社は6月16日、光通信向け結晶材料であるインジウムリン(InP)基板の生産能力を大幅に引き上げるため、今後4か年にわたり最大1,200億円の設備投資を実施する方針を決定したと発表した。既に公表分の投資と合わせた総投資額はおよそ1,500億円規模に達する。生産拠点は従来の茨城県北茨城市・磯原工場に加え、同じく茨城県のひたちなか地区にも拡張し、2025年度比で生産能力を7〜10倍に引き上げる計画だ。

エージェント型・フィジカルAIの台頭が光通信投資を加速

 AIの進化がデータセンターの通信インフラに対するニーズを急変させている。生成AIから、自律的に情報収集・分析・実行を行うエージェント型AI、さらにはロボットなど物理空間で動くフィジカルAIへの展開が加速するにつれ、学習・推論に伴うデータ通信量は飛躍的に膨らんでいる。その受け皿となるハイパースケールデータセンターでは、大容量かつ低遅延の通信需要への対応策として光通信インフラへの投資が拡大しており、光通信機器の需要は従来の予測を大きく上回るペースで伸びているという。こうした状況を背景に、JX金属は同社として過去最大規模となる設備投資に踏み切るに至った。

InP基盤

 InPは電気信号と光信号を相互に変換できる特性を持つ化合物半導体材料で、光トランシーバーと呼ばれる変換モジュールの核心部品として使われる。光トランシーバーはデータセンター内のサーバー間やラック間の接続に広く使われてきたが、近年はサーバー内部の高速データ伝送にも光通信技術の適用が広がりつつある。

適用範囲が拡大した分、InP基板の需要もそれに比例して伸びている。JX金属は複数の顧客との対話を重ねる中で、各社の設備増強に伴う大幅な増産要請を継続して受けており、需要がこれまでの見込みを大きく超えているとしている。同社は磯原工場での段階的な能力増強を2025年7月以降、複数回にわたり公表してきたが、今回の方針決定でその規模を一気に引き上げる形となった。

JX金属:2026/06/16リリース

関連カテゴリー