NTT、基地局間協調ビームフォーミング技術による、複数移動局との5G通信に世界で初めて成功
2018年5月25日 10時00分更新
株式会社NTTドコモと日本電気株式会社(NEC)は、第5世代移動通信方式において、4.5GHz帯の周波数を用いて、同一エリア内の2台の基地局間での基地局間協調ビームフォーミングによる複数移動局との5G無線通信を世界で初めて達成した。
同実験は、信号処理装置および多素子アンテナで構成される基地局2台の間で協調したビームフォーミングをデジタル信号処理により実現し、8台のユーザ(移動局)と同時通信する実験を、5月9日~11日に神奈川県川崎市で実施した。
今回の実験では、合計128素子のアンテナと信号処理装置とを光ファイバーで接続した光張り出し構成の小型基地局によるビームフォーミングを活用し、8台の移動局合計で5.5Gbpsの無線通信を達成した。
実験では、2カ所に配置した基地局が互いに協調しビーム制御を行う、基地局間協調ビームフォーミングの検証を実施。複数箇所に設置したアンテナは、その位置によっては大きな干渉が発生し通信速度が劣化するが、同実験では、デジタル信号処理により互いの干渉を打ち消し合うビーム制御を実装。
このビーム制御により柔軟に複数のアンテナを設置できるため、都市部のような人口密集環境においてもさらなる大容量通信の実現が期待る。また、ドコモとNECが共同で受託した総務省受託研究である、電波資源拡大のための研究開発「第5世代移動通信システム実現に向けた研究開発~高周波数帯・広帯域超多素子アンテナによる高速・低消費電力無線アクセス技術の研究開発~」における目標値を達成した。
■基地局間協調ビームフォーミングを用いた5G無線通信実験の内容
1. 実験概要と成果
ビームフォーミングとは電波の指向性(飛ぶ方向)を制御する技術であり、実験では、同一エリア内に配置した2台の基地局が互いに協調しながらビーム制御を行うことで電波干渉を抑える、基地局間協調ビームフォーミング技術による複数移動局との5G通信に世界で初めて成功した。
具体的には、64素子のアンテナを有する5G基地局2台と8台の5G移動局との間で、4.5GHz帯の周波数を用いた5G無線通信を実施。2台の基地局を協調制御させた基地局間協調ビームフォーミング技術を適用することで、8台の移動局合計で5.5Gbpsの無線伝送に世界で初めて成功した。
2. 実験実施日
2018年5月9日~11日
3. 実験場所
神奈川県川崎市
4. 使用周波数帯
4.5GHz帯(帯域幅:100MHz)
5. 基地局間協調ビームフォーミングの概要
6. 実験システム
今回の各実験で使用したシステムの構成と実験装置・機器の主な仕様
<基地局間協調ビームフォーミング検証時のシステム構成>
<伝送実験結果>
<実験装置・機器の主な仕様>
7. 各社の役割