エリクソン×ソフトバンク、F1日本GPで5スライスの同時運用と自動制御を実証
2026年6月18日 00時05分更新

エリクソン・ジャパン株式会社とソフトバンク株式会社は6月17日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催されたF1日本グランプリにおいて、5G SAとミリ波を活用した5つのユースケースを、単一の商用ネットワーク上で同時提供する実証実験を実施したと発表した。同時に稼働させたネットワークスライス数は、国内のイベントとしては最多になるという。
F1グランプリのような大規模イベント会場では、観客によるSNS投稿や動画視聴、運営側の放送用映像伝送、キャッシュレス決済の通信など、性質の異なる通信需要が同時に発生する。従来型のネットワークは利用者全体に均一の品質で帯域を割り振る設計が中心で、混雑時には特定の用途の通信が不安定になりやすいという課題があった。こうした背景から、ソフトバンクの商用ネットワーク上で用途ごとに通信品質を適正化するネットワーク制御の有効性を検証した。
Massive MIMOとスライシングの統合による最適化で、国内最多5スライスの同時運用を実現
実証ではソフトバンクの商用ネットワーク上に、ミリ波無線を含む5つの独立したネットワークスライスを構築し、会場内のユーザーに同時提供した。実証した用途は次の5つだ。
・5G SAユーザー向けの高品質通信:電波帯域の割り当てを増やして品質向上
・XR体験向け通信:高帯域・低遅延が求められるXR体験会用のスライスを提供
・キャッシュレス決済:決済端末向けに安定したプライベート5G回線を提供
・ミリ波バックホール公衆Wi-Fi:ソフトバンク/Y!mobileユーザー向けに公衆Wi-FiサービスをFWAとして提供
・ミリ波5G無線カメラ:放送事業者向けの映像伝送環境を提供し、生中継に活用
これらを支える基盤には、省電力・大容量通信に対応したMassive MIMO「AIR6476」を導入し、ミリ波対応無線機「AIR1281」を増設。前年大会との比較では、5G SA利用者の通信速度が下りで4倍、上りで14倍以上に向上し、5G NSA利用者も下り約1.5倍、上りで約6倍向上したという(開催期間中の土曜・日曜の平均値で比較)。
XR向けスライスでは、3月27日の本戦日における測定で、同時刻の一般5G SAユーザーと比べて下り無線区間の遅延を10分の1に抑えた。
さらに一部の基地局では、スライスごとの通信品質を1分間隔で可視化し、外部制御によって帯域配分を自動調整する「セルフチューニング型運用」を実証した。リリースでは、優先度の異なる複数のスライスがトラフィック増加時にも外部制御によって自動的に最適化され、それぞれの品質要件を満たす仕組みだとしている。

エリクソンとソフトバンクは、今回の実証で得られた知見をもとに、用途に応じて適正化された通信体験や新たなサービス価値の創出に向けて、ネットワークの進化を加速していくとしている。
ソフトバンクの常務執行役員兼CNOである大矢晃之氏は、今回の実証は通信が用途に応じて最適な品質を提供する方式へ進化していることを示しており、今後この成果をさまざまな領域に展開し、新たな体験価値の創出につなげていく考えを示した。
また、エリクソン・ジャパンの代表取締役社長であるジャワッド・マンスール氏は、将来的にはイベント会場内に限定せず、より広いエリアへ機能を拡張する可能性を見据えているとコメントしている。
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