ソフトバンク、LTE-Advancedに対応した衛星通信システムを世界に先駆けて試作開発
2016年6月13日 13時11分更新
ソフトバンク株式会社は、第4世代移動通信方式であるLTE-Advancedに対応した衛星通信システムを世界で初めて※1試作開発したことを発表した。同試作システムは現在地上で利用しているLTE/LTE-Advancedと同一の通信規格を採用し、地上ネットワークと親和性の高いシステム。同社は、同試作システムの実証実験については2014年7月に実験を開始し、研究開発を続けてきていた。
静止衛星を用いた衛星通信システムでは静止衛星を介した端末・基地局間の伝搬距離が72,000km、伝搬遅延時間が約0.5秒と通常の地上システムに比べて非常に大きく、従来、衛星通信システムごとに独自の通信規格が用いられていた。そのため、専用の衛星ゲートウエイ局(衛星基地局)や衛星通信専用端末が必要であった。同試作システムの通信規格は3GPP※2で標準化が進められているLTE-Advancedの通信規格に準拠しているため、衛星基地局や衛星通信端末に専用の通信規格を実装することなく、そのまま衛星通信で利用することが可能とのこと。
同社ではLTE-Advancedに対応した汎用の基地局と端末に伝搬遅延対策用のパラメータ値を設定するソフトウエアを開発し、衛星基地局と衛星通信端末の試作装置を開発。そして、衛星回線エミュレータ(伝搬遅延時間0.5秒を仮想的に生成するソフトウエア)を用いた実証実験により試作装置の動作確認を行い、音声通信、データ通信が共に正常に動作することを確認。さらに、同一端末で衛星ネットワークと地上ネットワーク間でハンドオーバーができることも確認した。
これにより、同試作システムに対応したスマートフォンであれば、将来的には地上/衛星通信端末としての利用が可能となり、平常時は地上ネットワークの通信サービスを利用する一方で、災害発生時などの非常時には衛星通信サービスを利用することが可能となる。
試作した衛星通信システム構成
[注]
※1 ソフトバンク調べ(2016年6月9日現在)
※2 3rd Generation Partnership Project、携帯電話システムの標準化を行っている民間の標準団体
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