みずほとNEC、AI認証基盤の共同実証実験を開始

2026年6月1日 10時05分更新


 株式会社みずほフィナンシャルグループと日本電気株式会社は2026年5月28日に、分散型ID(DID)と検証可能なデジタル証明書(VC)の技術を活用した新たなAIエージェント認証基盤「KYA」の構築に向け、共同実証実験を2026年6月より開始すると発表した。ユーザーの意図に基づきAIエージェントが自律的に金融サービスを利用する「Agentic Finance」時代の到来を見据えた取り組みだ。従来の「KYC(本人確認)」に留まらず、顧客の代理として機能するAIエージェントの身元や権限を正確に把握して検証する「KYA(Know Your Agent)」の仕組みを構築し、安全で確実な金融取引の実現を目指す方針だ。

 この共同実証実験の背景には、急速に進化するAI技術と、それにともなう金融サービスの利用形態の変化が存在する。今後想定される金融機関のシステムでは、人間だけでなくAIエージェントがアクセス主体となるため、その「認証」「同意」「委任」「監査」という4つの要素を暗号学的に厳格に検証する必要性がある。そのため、このプロジェクトではAIエージェントの一意識別子として改ざん耐性を持つDIDを用い、さらに権限や利用ポリシーなどを安全なVCとして発行することで、「特定ユーザーの正当な代理」であることを証明する一連のデジタルフローを実装する計画だ。検証作業の場としては、みずほ内のAI開発共通基盤である「Wiz Base」が活用される想定だ。

 実証実験における両社の連携では、それぞれの強みを融合させた役割分担が敷かれている。日本電気株式会社はDIDおよびVCに関する基盤技術の提供と、セキュアな認証基盤全体のシステム設計・実装を主導する。一方、みずほ側は金融取引の現場で求められる高度なセキュリティや業務要件を抽出し、認証のプロトコル設計に反映させる。両社は共同で金融業界特有の仕様をカバーするスキーマや認証フローを最適化させ、技術検証の完了後は、商用利用へ向けた実用性の評価フェーズへ移行する想定だ。将来的には金融業界全体で広く共有して活用できる、オープンな共通インフラストラクチャとしての確立を目指す。

 このように、みずほとNECが先進的な暗号技術を融合させた次世代の認証基盤構築に踏み出したことは、AIが経済を駆動するこれからの社会における安全なデジタルインフラの大きな一歩となる。

参考URL:https://jpn.nec.com/press/202605/20260528_02.html

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