NTTコミュニケーションズ、高速ソフトウェアPCルーター「Kamuee」を用いたSRv6の実証実験に成功

2019年6月14日 11時37分更新


 NTTコミュニケーションズ株式会社は、「Interop Tokyo 2019」のShowNetにおいて高速ソフトウェアPCルーター「Kamuee(カムイー)」上に、IPv6を用いてセグメントルーティングを実現した技術であるSRv6を実装し、会場内のネットワークにおけるサービスチェイニングの実現に貢献した。SRv6を用いたサービスチェイニングの実現は、ネットワーク上に存在するファイアウォール、UTMなどのさまざまな機能を、ネットワークの物理構成を変更することなく、ソフトウェアで迅速かつ柔軟に設定することを可能とするもの。

1.背景
 大容量通信を支える通信機器は、パケット処理時に行う経路検索や、高速にパケット転送する機能をハードウェアで設計・実装した専用機器の導入が必要で、その導入には、数千万円規模の費用と、長期にわたる構築期間を要することに加え、構成や設定の変更における柔軟性に欠けるという課題があった。

 NTT Comは、これらの課題を解決するため、パソコンなどでも利用される一般的なCPUを利用した高速ソフトウェアPCルーター「Kamuee」の開発を進めている。

 今回、ソフトウェアベースで迅速かつ柔軟に機能拡張が可能である「Kamuee」に、最先端の技術であるSRv6を追加実装し、サービスチェイニングの実現に取り組んだ。

2.「Interop Tokyo 2019」ShowNetへの導入
期間:2019年6月12日~14日

内容:「Interop Tokyo 2019」ShowNetにおいて、アプリケーションプロキシーとして「Kamuee」を導入し、SRv6での会場内トラフィックのサービスチェイニングを実現することで、自由な経路指定を可能にする基盤を支えた。これにより、従来SRv6をサポートしていないファイアウォール、UTMなどのネットワーク機能に対してもサービスチェイニングを提供可能になり、ネットワーク上に存在するさまざまな機能を、物理構成を変更することなくソフトウェアで柔軟かつ迅速に設定することができようになる。

NTTcom

3.今後について
 今回、ShowNetにおいて「Kamuee」がSRv6の導入に成功したことにより、サービスチェイニングによる柔軟なネットワークの実現に「Kamuee」が貢献できることが実証された。コアルーターとしてだけでなく、セグメントルーティング用のルーターとしても「Kamuee」が導入されることで、より一層自動化・効率化に貢献することが期待される。

 今後も「Kamuee」の機能追加を行いながらさまざまな用途での実証実験を継続し、自社網への導入に加え、通信事業者・通信機器メーカーなどとのサービス開発や、ユーザーへのソリューション提供など、さまざまな場面での活用も検討していく。

(参考)「Kamuee」の特長
 NTT Com が内製開発した「Kamuee」は、一般的なCPU を利用し、大容量通信のための専用機器と同等以上の性能を実現し、ソフトウェアPCルーターとして世界トップレベルの処理速度を実現。

(1) 「Poptrie (ポップトライ)」の活用による経路検索の高速化
 ルーターに多数の経路情報が登録されている状態で、大量のパケットを高速に通信するためには、経路検索に多くの時間を要する。「Poptrie」は、まず経路情報の検索に必要となる処理を軽減し、次に経路検索処理に必要とされるメモリーを大幅に圧縮する。これにより、全経路情報をCPU キャッシュに載せることができ、経路検索時にCPU がメモリーを参照する回数が削減されるため、従来の方式と比べ経路検索の高速化を可能にする。

(2) 独自モデルを活用したパケット転送の高速化
 DPDKを採用し、NTT Com の独自モデルを用いることにより、高速なパケット転送を実現。
 
 

 
 
 
 
 

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