全国100地点における利用可能店舗数は、全ての地点でPayPayがトップ—ICT総研調べ
2020年1月16日 13時43分更新
株式会社 ICT総研は1月16日、QRコード決済の利用可能店舗数に関する調査の結果をまとめた。2019年10月の消費増税に伴い経済産業省が推進している「キャッシュレス・ポイント還元事業」は1月11日時点で登録加盟店が約95万店舗となった。増加ペースは鈍くなっているものの、依然として活況を見せている。
今回の調査では、キャッシュレス決済の中でも、利用者や利用可能店舗の拡大が目立つスマホアプリ型のQRコード決済について、利用可能店舗数の実態を把握することを目的とした。消費者へのWebアンケートと、スマホアプリ上での利用可能店舗数の手作業によるカウントという2つの手法を採った。
■ QRコード決済の利用機会が多いのはコンビニ (71%)。スーパー・ドラッグストアが続く。
インターネットユーザー4,000人へのWebアンケートの結果、スマホアプリ型のQRコード決済を現在利用している回答者は1,419人。利用事業者上位は、PayPay、楽天ペイ、d払い、LINE Payとなった。この4事業者をメイン利用しているユーザー1,205人に対して、QRコード決済の利用機会を聞いたところ、コンビニエンスストア (4社平均71%)が最多となり、スーパーマーケット・ドラッグストア (同50%)、ネットショッピング (同30%)がこれに続いた。
事業者ごとに見ると、PayPayユーザーはスーパーマーケット・ドラッグストア、飲食店(1人あたり1,000円未満)、小規模小売店、タクシーなどでの利用機会の多さが目立つ。楽天ペイは観光・宿泊施設での利用がやや多く、LINE Payはコンビニエンスストアでの利用が他社を上回っている。d払いはネットショッピングや家電量販店・ホームセンターでの利用が多い点が特徴的だと言える。全体的にQRコード決済は、平均客単価が1,000円未満の店舗での利用が多い傾向が見られる。
■ 利用可能店舗数が多いと思われているのは、PayPay (68.6%)。次点に大差。
スマホアプリ型のQRコード決済を現在利用している1,419人に対して、利用可能店舗数が多いイメージのQRコード決済事業者を聞いたところ、PayPayが68.6%でトップとなった。次点の楽天ペイ(7.5%)に大きな差をつけている。PayPayはチェーン店だけでなく、個人経営の飲食店や小規模小売店でも利用可能店舗が多いことが、利用店舗数の多さを印象付けていると推察される。
■ 全国100地点における利用可能店舗数は、全ての地点でPayPayがトップ。
次に、Webアンケートで利用率の高かったQRコード決済事業者上位4社(PayPay、楽天ペイ、LINE Pay、d払い)について、各社のスマホアプリ上で、全国100地点(都道府県ごとの乗降客数の多い駅を中心とする半径500m以内)の利用可能店舗数を手作業でカウントした。この結果、調査した全ての地点において、PayPayがトップとなった。調査した100地点における利用可能店舗数の合計は、PayPay 32,044店、d払い 5,839店、LINE Pay 4,936店、楽天ペイ 4,155店である。
結果として、Webアンケートでユーザーから利用店舗数が多いイメージをもたれているPayPayが、利用可能店舗数のカウント結果でもトップとなった。
利用可能店舗数は、都市部と地方で大きな差を見せた。4社平均で見ると、兵庫県が375店、大阪府333店、福岡県 316店、愛知 327店、東京都 303店と、5つの都府県が平均300店を超えているのに対し、熊本県は平均15店に留まる。また、地方では、同一県内の乗降客数1位の駅と2位の駅でも、利用可能店舗数に大きな差が見られた。
政府が来年度の実施を準備している「マイナポイント」制度は、まだまだ一般認知されているとは言い難いが、この決済ツールとしてもQRコード決済の存在感は大きく、この制度の普及・浸透の一翼を担っている。また、2025年にキャッシュレス比率40%という目標を政府は掲げているが、これを実現するためにも、QRコード決済の利用可能店舗数や利用者数は今後ますます増加していくことが期待される。
ICT総研では、今後もQRコード決済を始めとするキャッシュレス決済の市場について、継続的に調査をしていく方針だ。