ついにauでもVoLTEスタート、3Gを捨て「Always 4G LTE」へ

2014年10月29日 14時36分更新


 KDDIは10月27日、新商品・新サービス発表会を実施した。NTTドコモが先駆けてスタートさせていた高音質通話を実現させる技術「VoLTE」のサービス開始をはじめとして、VoLTE対応のスマートフォン、「au WALLET クレジットカード」などが発表され、今後のKDDIの戦略が垣間見える発表会となった。

・VoLTE

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 12月初旬より4G LTEネットワークを活用した次世代音声通話サービス「au VoLTE」の提供を開始すると発表した。LTE回線を利用するため音質が良くなり、発着信がスピーディーになる他、従来KDDIが採用していた3G方式では不可能であった通話中でのデータ通信が行えるようになった。これにより電話しながらでもメールやネット閲覧が可能になる。またKDDIは高速通信を使用したVoLTEならではの新たな通話サービスも開始する。
 「シンクコール」は通話中にデータ通信が使えるようになったのを生かした新たなサービスだ。自分のスマートフォンの画面を相手の画面に表示させる「画面シンク」、カメラで映している映像をリアルタイムに相手のスマートフォンに表示する「カメラシンク」、互いの位置情報を地図上に表示する「位置シンク」、画面上で手書きの文字を共有できる「手書きシンク」の4つの機能が使えるようになる。いずれもVoLTE対応のauスマートフォン同士でのみ可能で、通話料金の他にデータ通信量も発生するので注意が必要だ。2015年2月以降に提供予定。

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 「ボイスパーティ」は最大30人まで同時通話が可能になるサービスだ。こちらは固定回線も含めて相手のキャリアは選ばずに使える。使用にするには月額300円(税抜)の専用オプションか、月額400円(税抜)の「電話きほんパック(V)」に申し込む必要がある。発信者には別途、通話先に応じた通話料 (人数分) が課金される点は留意すべきだろう。

 VoLTEの対応機種は今のところ同時に発表された「isai VL LGV31」 と「URBANO V01」のみ。iPhone6については未定で、既に発表されているモデルについてはファームウェアアップデートでも対応しない。 他キャリアのVoLTEとの接続に関しても現在のところ非対応となっている。

・Always 4G LTE
 国内の3Gネットワークを順次縮小していき、今後はLTE一本に絞っていく方針も発表された。基地局整備によって国内LTE人口カバー率が99%超、LTE維持率は99.9%超という数字の達成が背景にあると思われる。2020年を目処に3Gネットワークを廃止する予定で、それに合わせてフィーチャーフォンもLTE対応に移行していくと思われる。スマートフォンにおいては、今回発表された2機種は国内の3G非対応となっており、KDDIの本気度が伺える。なお、あくまで非対応となるのはKDDIが採用しているCDMA2000形式の3G通信であり、海外で主流のW-CDMAやGSMの方式には対応しているため、国際ローミング時には3G通信は行えるようになっている。

・新機種

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 既に上述したが、今回発表されたスマートフォンは「isai VL LGV31」 と「URBANO V01」の2機種となる。両者ともVoLTE対応、国内3G非対応という特徴を持つが、一方で既に発売されている2014年夏モデルのマイナーチェンジ版であるともいえるモデルとなっている。
 フィーチャーフォンは京セラ製の「MARVERA2」が新たに発表された。フィーチャーフォンながら「au WALLET」を始めとした、auのサービスをシームレスに活用できる機能を備えている。
 3機種とも、詳細については別記事を参考にしてもらいたい。

・au Wallet

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 今年5月からKDDIはプリペイド形式の「au Wallet」サービスを開始して決済サービスに参入したが、「au Wallet」の新サービスとして「au WALLET クレジットカード」の発行を開始すると発表した。200円の利用ごとにWALLETポイントが2ポイント付与され、「au Wallet」と同じように「ポイントアップ店」では通常よりも多くのポイントを貯めることができる。溜まった「WALLETポイント」は1ポイントを1円として、auのサービスだけでなく、様々な料金の支払いに利用可能だ。auの通信費もこのクレジットカード決裁をすれば毎月の通信料でWALLETポイントが得ることもできるため、auユーザーにとっては魅力的だろう。発行手数料・年会費も無料となっている。
 ただしau WalletカードがMasterCard加盟店で利用できるの対して、こちらのクレジットカードはVISAに対応したものとなっている他、WALLETポイントを日々の買い物に使うにはクレジットカードの方ではできないということで、auの決済サービスを活用するためには両方のカードを持ち歩く必要があるのは難点だろう。NTTドコモがiPhoneでもFeliCaサービスをまとめて使える「おサイフケータイジャケット」を発売するなど、物理カードを無くす方向に来ているのが最近の傾向であるのを踏まえれば、ユーザーに2枚の物理カードをもたせるのは些かスマートではないように思われる。

 今回の発表で最も注目すべきはやはり3G通信の廃止だろう。今後のスマートフォンの新機種は全て3G非対応になるのは間違いないと思われ、KDDI自身がLTE人口カバー率が99%超、LTE維持率は99.9%という数字を謳っても、実際のユーザーの反応をみなければその実態は計り知れない。市街地では問題ないかもしれないが、山間部や僻地などでは3Gのみというエリアもあるので不安は残る。山で遭難した際に携帯電話で救助を呼ぶという例もあるので、ユーザーによってはリスクになりかねないというのが印象だ。
 またついにVoLTEのサービスが開始され、auユーザーでも通話中のデータ通信ができるようになるのは歓迎したいが、問題は対応端末の少なさだ。順次増えていくであろうが、最近発売された「Xperia Z3」や「GALAXY Note Edge」も非対応というのは、同モデルを発売するドコモはVoLTEに対応しているだけに、やや寂しく感じる。
 「au WALLET クレジットカード」もやや残念だ。クレジットカードを持てない未成年は「au WALLET」カード、大人向けに「au WALLET クレジットカード」と住み分けるのではなく、ユーザーに2枚の物理カードを持たせるようにするのは、使い方が複雑になり、近年のトレンドに反しているように感じる。いずれも新たなサービスの「産みの苦しみ」となるかどうか、今後の展開次第になるだろう。

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